河井案里議員のウグイス嬢「日当3万円」疑惑 専門家に「プロじゃない」と言われる理由
7月の参院選で初当選した河井案里議員(広島選挙区)の選挙陣営が、ウグイス嬢に公職選挙法で定められた日当の上限(1万5000円)の倍となる3万円を支払った疑いで、夫の河井克行衆院議員は10月31日、法務大臣を辞任した。今回の疑惑、公選法では買収行為に該当するが、実は、ウグイス嬢へ上限を超える日当が支払われるケースは珍しくないという。
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報道によれば、河井案里氏の陣営は、ウグイス嬢13人に対して、一人につき日当3万円を支払うため、領収書を選管に届け出る「河井あんり選挙事務所」宛てと、「河井あんり事務所」宛ての2枚に分けて出していたという。これが事実なら、連座制が適用されて、河井案里氏の当選も無効となる可能性もある。一方、ウグイス嬢の1人は新聞社の取材に、運動員(ウグイス嬢)として8日間の報酬12万円以外に、選挙公示前に備品代として12万円を受け取ったと説明している。真相解明までには、しばらく時間がかかりそうだ。もっとも、ある選挙プランナーに言わせると、
「今回のような話は、よくあることです。正直言って、日当1万5000円程度では優秀なウグイス嬢は集められません」
実際、過去に似たようなケースで何件も事件化している。例えば、
2017年10月の衆院選で、自民党・谷川弥一衆院議員(長崎3区)の選挙陣営が、運動員に違法に報酬を支払っていたことを陣営関係者だった男性が今年7月、長崎県警に告発。谷川陣営は、ウグイス嬢4人に対し、法定上限額を超える分の報酬として、合わせて78万円を支払っていた。
東京地検特捜部は2016年4月、2014年の東京都知事選で落選した元航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄氏と選対事務局長だった島本順光氏を公選法違反で逮捕した。田母神容疑者の都知事選の選挙運動費用収支報告書には、ウグイス嬢5人の人件費として計22万5000円しか計上されていなかったが、実際はウグイス嬢5人に280万円を渡していた。島本容疑者は17年7月、懲役2年執行猶予5年、田母神容疑者は18年12月、懲役1年10ヶ月執行猶予5年の刑が確定している。
2013年7月の参院選挙では、生活の党から出馬して落選した広野允士(ただし)元参院議員の公設秘書、大畑清美氏が、ウグイス嬢4人に日当3万円を支払ったことが発覚し、逮捕された。大畑氏は同年11月に懲役1年6ヶ月、執行猶予5年の判決が確定した。4人のウグイス嬢のうち3人を略式起訴し、罰金と追徴金が科された。秘書が逮捕されたため、広野氏はその後5年間参院比例選への出馬が禁じられている。
13年の参院選では、奈良選挙区から立候補した民主党の大西孝典氏(落選)の陣営でもウグイス嬢買収があった。40歳代(当時)の運動員の女性が9人のウグイス嬢に日当約3万円を支払う約束をしたとして、奈良県警が公選法違反容疑で書類送検し、奈良区検が略式起訴をした。運動員の女性は罰金と公民権停止3年が科されたという。
といった按配で、ウグイス嬢に1万5000円以上を払って、事件化した例は枚挙に暇がない。
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