京大霊長類研究所「研究費20億円ロンダリング」で「人間の本性」がむき出しに

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「遺憾です」

 両氏に「安値受注」を持ち掛けられて割を食ったとして裁判を起こし、その後、会計検査院等に「告発」を行った設計施工会社の代表取締役である石原智一氏当人がこう証言する。

「今年に入って2度ほど、会計検査院の方が私のところに聞き取りに来ました。資料を見せると、『こんなスゴい研究費不正は初めて見ました』と驚いた様子だった。松沢さんたちがやっていることは、相当あくどいんだなと感じました」

 先の関係者が続ける。

「事態を重く見た京大側は、すでに内定していた友永さんの人事を取り消すなど、大わらわです」

 不正疑惑の当事者のひとりである友永氏に質(ただ)しても、

「大学に聞いてください」

 と言うばかり。そこで、霊長研を出てきたところで同研究所のトップである湯本貴和所長に疑惑をぶつけると、記者と目を合わせることは一切拒みつつも、観念したように、

「ふたりがやったことは遺憾です」

 こう松沢、友永両氏のやった「悪事」を認めるのだった。

「部局(霊長研)の判断で、研究費の支給を止めます。今後、文科省から研究費の返還を求められる可能性が高い。その額は見積もりで最大20億円です」

「人間の本性」に迫るべく、霊長類の研究を通じて辿り着いたのは公金の不正利用だった……。

 決してサルには真似できない、「人間臭い」惨めな結末である。

週刊新潮 2019年11月7日号掲載

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