サークルKのドメインは6千万円! 「中古ドメイン」が悪用されるリスクを解説

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内閣府主催の公式サイトが出会い系の広告に使われた

 ドメインを悪用されないために企業側ができる自衛手段は、一度使用したドメインを安易に手放さないことだ。ドメインの更新料は年間数千円程度なのに、ドメインの更新を忘れ、失効してしまう事例が後を絶たない。

「ドメインを情報システム部が管理せずに、企業によっては財務部が管理していたり、備品と同じように総務部が担当するケースも見られます。ドメイン更新期限が迫っている旨のメールが届いても、ITに詳しくない担当者は意味がわからず放置してしまうことも多いのです」

 とくに注意が必要なのはイベントで一時的に使用したドメインだという。

「イベントのために新規ドメインを取得し、公式サイトを作成することがよくあります。しかしイベントが終われば、プロジェクトチームは解散し、誰がドメインを管理しているのかわからない状態になってしまうことも少なくありません。そもそも大きなイベントでは、広告代理店にドメイン管理も含めて丸投げしている企業もあるため、なおさらそうしたことが起きやすいのだと思います」

 実際、2015年に開催された内閣府主催のサイバー対策イベント「Cyber3 Conference Okinawa 2015」の公式サイトに使われていたドメインも失効後、第三者の手に渡り、出会い系サービスの広告に悪用された。

「サークルK・サンクスがドメインを手放したのは、ファミリーマートとの合併により管理部署、管理者がわからなくなってしまった可能性が大きい。もしくはドメインが資産との認識がなく、もう使わないと思い放置したままだったのかもしれません」

 サークルK・サンクスの商標権はファミリーマートが現在も所有しているため、商標権の管理に比べ、ドメインはなおざりにされていたようだ。井上氏は、経営統合や組織改編の際にはドメイン管理もしっかり行うように、と注意を呼びかける。

「ドメインは知的財産です。ドメインの管理が適切か、更新期限は迫っていないか、定期的な確認は欠かせません。また商標権と同じように、略称や通称などの類似ドメインも事前に獲得しておくことも第三者による不正を防ぐためには有効な対策です」

 ドメインは、ある意味限りあるリソースだ。オークションなどで中古ドメインの有効活用は必要だろうが、同時に悪用を防ぐための対策も整備していかなければならないだろう。

取材・文/奥田壮(清談社)

2019年11月6日掲載

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