雅子皇后、即位の礼は20年前の苦難を乗り越えた“復活”の儀式
即位の礼の中心儀式である「即位礼正殿の儀」が、世界中から賓客を迎えて10月22日に皇居で行われた。5月1日に「剣璽等承継の儀」という即位儀式で、皇位の印である「三種の神器」を継承した天皇陛下が、内外に即位を「宣明」された。この日は、皇后の雅子さまにとっては、厳粛な“復活”の儀式でもあったようだ。
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皇后雅子さまの凛とした姿はどこから来たのか
「即位の礼正殿の儀」が行われた10月22日、筆者は昼すぎから皇居にほど近い有楽町のラジオ局にいた。特番のゲスト出演のためスタジオで待機しつつ、皇室担当記者として取材していた30年前の「即位の礼」を思い出していた。あの頃は、「天皇制打倒」を叫ぶ左翼過激派による爆弾テロが、全国で相次いだ。東京では、原宿の東郷神社で本殿の扉が吹き飛び、新宿にある警視庁の独身寮では警官一人が亡くなった。赤軍派による不審な動きもあった。社会全体にピリピリした雰囲気が漂っていた。
正殿の儀は午後1時から始まったが、あれだけ強く降っていた雨が直前に止み、曇天から薄日も差した。スタジオでは「虹が出てるらしいよ」という番組スタッフの驚く声が響いた。高御座に立つ天皇陛下の「おことば」に続いて安倍晋三首相の「祝詞」があり、万歳三唱に合わせて北の丸公園から陸上自衛隊の礼砲が撃たれた。その音がスタジオでも生で聞こえた。
しばらくして儀式に参列した知人から届いたメールに、こんな表現があった。「天皇皇后両陛下のお覚悟が感じられる式典でした」。宮殿の「松の間」の近くで式典を見守った方の印象だから実感がこもっていた。なるほど、スタジオに設置されたテレビ画面でも、それが感じられた。天皇陛下の穏やかで雄々しい表情が印象的だったが、皇后雅子さまのお顔にも厳かで凛としたものを感じた。天皇をお支えし共に歩もうとの決意から来るのだろうか。多くの国民が、これからの天皇陛下と皇后さまに、期待と安堵の気持ちを抱いたに違いない。
この日、「饗宴の儀」を含め皇后さまに注目していたという、上皇上皇后両陛下にお仕えした侍従が語った。「陛下をお助けしていこうという控えめで自然なお振る舞いが良かった。少し安心した」。これまで、上皇后さまとの比較もあってか、皇后さまにやや厳しい見方をしていたイメージがあったが、この日は違っていた。
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