台風被害で頭を抱える「旅番組」「街歩き番組」、ロケ地変更を余儀なくされたケースも

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再放送でも視聴率は変わらず

 そんな中、番組を差し替えられたのが、16日に放送が予定されていた「太川蛭子の旅バラ」(テレビ東京)だった。

「この日は、『2時間SP ローカル鉄道寄り道旅 伊勢原~箱根・強羅』の放送を予定していましたが、台風19号で被害を受けた箱根登山鉄道や地域住民等に配慮したそうです。箱根登山鉄道の箱根湯本~強羅駅間は、10月末になっても運行が再開できないほどの被害を受けていますから、これはやむを得ない対応でしょう。ただし、そこはテレ東、転んでもただでは起きませんでした。別に撮っておいたロケ地を放送するというわけでもなく、ゴールデン帯に“再放送”を持ってきた。しかも、『旅バラ』の再放送ではなく、太川陽介(60)・蛭子能収(72)のコンビで視聴率2桁を獲得していた人気番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』だったのには驚きました」(同・民放プロデューサー)

 16日に放送されたのは、16年9月24日に放送された『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 第24弾~山口・錦帯橋~京都・天橋立~』(マドンナ:熊切あさ美[39])の再編集短縮版だった。新聞のラテ欄にも、しっかりと【再】のマークが付いていた。

「ちなみに視聴率は5・6%(ビデオリサーチ調べ:関東地区)と、さすがに全盛期のような2桁は無理でしたが、いつもの『旅バラ』とあまり変わらなかった。むしろ制作費ゼロで、これだけ取れたら御の字、という声を聞くほどです」(同)

 隅田川の花火大会が大雨で中止になりながらも、前年や前々年の録画を持ち出して“生中継”を完遂させた時を彷彿させるが……。

「そのあたりの臨機応変さは見事です。ただ、テレ東に限った問題ではありません。特に今は秋の行楽シーズンで、紅葉も真っ盛り。例年なら、箱根や日光、伊豆、南房総あたりを紹介するのが秋旅の定番でした。今年は視聴率も取れる人気地域のロケが難しくなったところもあり、旅番組の担当者は頭を抱えています。“被災地でロケをした”と感じさせる映像でも流したら、不謹慎と言われかねませんから」(同)

 ただ、自然災害が多いからこそ気持ちが安らぐ旅番組を見たい、という声もある。

「そう言ってもらえるのはありがたいです。旅番組の担当者も、誰かを傷つけたいと思って番組作りをしている者はいませんからね。すでにロケ地の変更を余儀なくなされた番組もありますし、ロケ地を変更する時間がないという番組も出てくるでしょう。そんな時、ロケを延期するか、できる範囲でロケを決行し、どう演出するかが、ディレクターと出演者の腕の見せ所になります。今後1カ月、各局の旅番組はどこへ向かったか、どう編集したかを見るのも、新たなテレビの見方となるかもしれませんし、そこでテレビマンの苦労を感じていただけたら、ありがたいですね」(同)

週刊新潮WEB取材班

2019年11月2日掲載

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