日本人が知らない親日国は南米「ボリビア」 ドイツやオランダよりも尊敬される理由

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車が動かないと生死にかかわる

 南米では、アルゼンチンやチリはヨーロッパ志向が強く、親日国ではないそうだ。その一方、とりわけ日本に親しみを持っているのが、ボリビアだという。

「ボリビア人にとって、日本は特別な国です。ボリビアに渡った移民で親しまれているのは、日本以外ではドイツとオランダです。ドイツは第二次世界大戦後、ナチスの残党がボリビアへ逃げてきて、現地で学校を作りました。彼らは教育レベルが高く、エンジニアも多かったので、ボリビア人にきちんとした教育を受けさせたのです。オランダは電気機器メーカーのフィリップス社があるように機械に強く、ボリビアの治水工事を行ったため、信頼されています。そんな中、日本はボリビア人にとって、なくてはならない存在となっているのです」(同)

 谷本氏が勤務した国連機関には、ボリビア人の友人がいたというが、

「ボリビアは標高が高く、山岳地帯や高原地帯もあり、また、亜熱帯気候の地帯もあって地形は変化に富んでいます。ちょっと郊外に出れば道がなく、バスや電車は発達していません。主な移動手段は車となります。ボリビア人の友人によると、過酷な地形を車で移動するときは、ガソリンスタンドが少ないため車にガソリンタンクをいくつも積み込むそうです。ボリビアは治安が悪く、強盗被害が多発しています。そのため移動中に車が故障すると、命にかかわるそうです。強盗に出くわしたら逃げられないからです。強盗の被害を防ぐため、自宅にドーベルマンを飼っている家庭が多いそうですし、警備員はショットガンを携行しています。こういう環境の中で、ボリビア人を守っているのが、日本のオフロード車やトラックです。なかでも、トヨタのランドクルーザーは、ボリビアで世界一の信頼があると言われています」(同)

 オフロード車では、ベンツのゲレンデワーゲンやランンドローバーも悪路走破性の面では定評があるが、

「日本車と比べると、ベンツやランドローバーは価格が高いし、また、カスタマーサービスがかなり劣るようです。日本車の場合、車が故障すると、すぐに対応してくれるし、エンジンなどに少しでも不具合が疑われる箇所があれば、すぐに日本の本社に報告が上がり、細かく分析・検証するそうです。必要であれば、現地での修理もきちんとします。ところが、他の国となると、故障しても現地の人と連携すべきところを怠ったりして、トラブルが発生することも珍しくありません。車が日常生活において重要な役割を担うボリビアでは、エンジンのテストを何度も細かく行い、極めて信頼性の高い製品に仕立て上げる日本人は、賞賛に値する存在なんです。そして故障して、窮地に立った際に素晴らしいサービスを提供してくれれば、その国の大ファンになってしまうのは自然の成り行きと言えますね」(同)

 放牧で車での移動距離が大きい南米のウルグアイやパラグアイでも、日本のオフロード車が大活躍しているという。また、綿花が主な輸出品だったパラグアイでは、日本人移民が大豆や小麦の輪作に成功し、現在、輸出の7割が大豆となって経済発展に大きく貢献したという。ここでも日本人は感謝されているそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年11月1日掲載

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