就職説明会に参加のサクラ学生に「東京都民の税金」でギャラ払いの愚

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 7月下旬、東京都の外郭団体「東京しごと財団」へ匿名の情報がもたらされた。“就職説明会に出席しているのは、報酬をもらったサクラの学生です”。その説明会は、人材派遣業界世界最大手「マンパワーグループ」日本法人が主催した企業合同説明会だった。

 マンパワーは東京しごと財団の基金を利用して、7月18日に東京都ホテル旅館生活衛生同業組合、8月3日には東京都管工事工業協同組合の加盟企業の合同説明会を開催。7月には17人、8月には43人の学生が参加したという。

 東京しごと財団の担当者によれば、

「10月5日、マンパワーから“契約に基づかない説明会があった”と報告がありました」

 マンパワーは求職の意志がない学生にギャラを払って説明会に参加させていたのだ。ちなみに、7月の説明会に参加した10人は2千~5千円、8月の37人は4千~1万円のギャラを得ていた。彼らはマンパワーの依頼先である都内コンサルタント会社のツイッターなどを見て応募したという。東京しごと財団の担当者が続ける。

「すでにマンパワーへの委託費約180万円の不支給を決定し、過去の就職説明会も適正に行われていたか調査中です」

 来年3月卒業予定の大学生の求人倍率は前年より0・05ポイント下がったとはいえ、1・83倍と売り手市場だ。加盟企業が人手不足に苦しむ東京都ホテル旅館生活衛生同業組合に聞くと、

「説明会ではホテル、旅館業界に関心を抱く学生も何人かいましたが、継続して希望している人はゼロ。マンパワーは説明会の開催費用を負担すると言っていますが……」

 また、東京都管工事工業協同組合は、

「説明会に行きましたが、参加者がサクラの学生とは見抜けませんでした。マンパワーとは過去にも仕事をしていて、信頼関係を築いていたと思っていたので非常に残念です」

 我々の税金を原資に、サクラにギャラを支払う――。果たして、法に触れることはないのか。先の東京しごと財団の担当者によれば、

「過去の事例でも契約違反が判明すれば、ペナルティを科すことを含めて適正に対処したいと思います」

 マンパワーグループの池田匡弥(まさひろ)代表取締役社長(53)に弁明を聞くと、

「監督責任はあるかもしれませんが、委託先の企業が起こした問題なので詳細はわかりません。第三者委員会を設置して、目下、調査しています」

 人手不足に乗じた悪業を許して良いものか。

週刊新潮 2019年10月31日号掲載

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