五輪マラソン札幌案の裏にカジノ誘致 小池知事が知らない菅官房長官の思惑
村八分の理由
大会組織委の武藤敏郎事務総長が小池知事に「札幌案」を伝えたのは、IOCの発表前日の10月15日。
「組織委の森喜朗会長や武藤氏がIOCのバッハ会長かコーツ調整委員長から『札幌案』を聞かされたのは、10月8日前後だったと見られています」
と、スポーツ紙記者。
「8日に予定されていた観戦チケットの第2次抽選販売の申し込み開始が急に延期になったのは、今考えれば、札幌案が浮上した影響だったのでしょう。9日には、森会長は安倍総理と萩生田光一・文部科学相に会っている。さらにそれ以後には、森会長と橋本聖子・五輪担当相、秋元克広・札幌市長の3者会談があったとも言われています」
ただし、IOCに言われる以前から組織委側も「腹案」として札幌への移転を模索していたといい、
「小池知事に伝えられる前に少なくとも3人の都議会議員が札幌案について把握していました」
とは、都政関係者。
「自民党の高島直樹、川松真一朗、山崎一輝の3都議です。彼らはいわゆる森一派で、9月22日には札幌ドームで行われたラグビーの試合を森さんと一緒に観戦しています。その際、すでに札幌での開催が模索されていたといいます」
組織委の森会長と小池知事が犬猿の仲であることはよく知られているが、
「今回の件で小池知事が村八分にされたことには、いくつかの理由があります。まず、森会長サイドとしては、“小池知事にはIOCや組織委とのパイプも信頼関係もない”という印象を世の中に植え付けたかったのでしょう。あと、事前に小池知事に伝えてしまうと世論を煽ったりして札幌案に抵抗することが考えられたため“通告”という形をとったと思われます」(同)
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