介護は突然やってくる! 介護破綻しないために知っておきたいお金の知識
認知症の備えに「家族信託」を検討してみよう
吉田さん:実家を売ったりすればなんとかなるかも…。
山本先生:そうですね、ただ、認知症になったりするとご本人の意志確認ができないので、不動産は動かせなくなります。それこそ、お亡くなりになるまで凍結されてしまいますね。
吉田さん:じゃあ、やっぱり当面資金は子どもが用意しておかなくちゃいけないんですね。
山本先生:それを回避するために、本人に判断能力がなくなると成年後見制度を勧められます。でもこの制度は、制約が多く、不動産の売却や資産運用はできません。そこで、最近では、家族信託が注目されています。
吉田さん:家族信託と成年後見制度はどう違うんですか?
山本先生:家族信託は受託者となった家族や親族の意志で、不動産の売却や投資などもできるのが特徴です。受益者が認知症になって施設に入ることになったら不動産を売ることもできます。しかも二次相続の指定までできるということで、注目が集まっていますね。
吉田さん:そうなると、子どもの負担が軽くなりますね。どこに相談すればいいんですか? 信託銀行ですか?
山本先生:信託銀行にも「家族信託」と銘打った商品があるかもしれませんが、金融商品を預かるだけのものが多いのです。家族信託に精通した司法書士などに依頼するか、司法書士がパッケージされたイオン銀行などの家族信託を利用してみてください。
吉田さん:「信託」とつくと、なんでも一緒に見えますが違うんですね。わかりました。
山本先生:親の世代の方が経済的には恵まれているので、ある資産は有効に活用したいですよね。介護費用は基本的に親が負担する前提で考えましょう。
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