介護は突然やってくる! 介護破綻しないために知っておきたいお金の知識

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「老後のお金が心配」という相談者は53歳の会社員。相談者が目下、心配しているのは親の介護の負担についてのようです。介護破綻に陥らないためにどんな対策があるのでしょうか。創立17年のお金の学校「ファイナンシャルアカデミー」(https://www.f-academy.jp/)の講師・山本麗子先生が定年前後の生活設計方法をわかりやすく指南します。

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親の財産を把握していますか? していないなら危険です

読者代表:吉田正史さん(仮名・53歳)
新卒で入った中小企業で営業として勤続31年。高校生の長女と中学生の長男を育てる2児の父だ。年収は650万円で、マイホームは35歳の時に35年ローンで購入したが、目下の不安は退職後のお金のやりくり。

吉田さん:今心配なのは、親の介護なんですよ。前回の「老後破綻の6パターン」の中に、病気・介護破綻とあったのが気になって。やはりお金がかかるものなんでしょうか。

山本先生:そうですね、介護や医療に関しては、どこまで望むかによってかかるお金も千差万別です。ちなみに、ご両親ともにご健在ですか。

吉田さん:はい、気になりつつ、何もしていないんですが。

山本先生:介護状態になる前だからやっておきたいことはたくさんあります。介護が始まったらノンストップなので。

吉田さん:例えば、どんなことでしょうか

山本先生:一番大切なのは、親の経済状況を把握しておくことです。

吉田さん:ええっ、いくら親子でも「いくら貯めてる?」なんて聞けないですよ。

山本先生:そうですね。でも、親にお金があるとわかるだけでも、安心できますよね。なければ、どうするか考えなければならないですし。

吉田さん:それは、まぁ……。でも聞きにくいなあ。

山本先生:「最近、友人の親が突然倒れて介護することになったんだけど、資産状況がわからなくて困ったと言ってたんだよね。うちは、なにか備えているの?」など、ソフトに切り出してみるといいかもしれません。

吉田さん:う~ん、しかしうちは兄もいるし…。

山本先生:ではお兄さんと2人そろって、ご両親に相談してはどうですか? 縁起でもないことですが、遺産相続の場合には全部オープンになるわけですから、生前でもよいのではないでしょうか。

吉田さん:そうですねぇ…。でも兄とは疎遠ぎみというか…。

山本先生:そうなると、ますます生前の方がよいですね。親の目があるうちの方が、私利私欲をむき出しにしにくいものです。

吉田さん:う~ん、そうか…。

山本先生:親の財産で施設に入るお金もあって、どうやら余剰がありそうだとなれば、生前贈与という形で受け取れるかもしれませんよ。暦年贈与といって、1年間110万円まででしたら、贈与税はかかりません。また「教育資金の贈与税の特例」を活用すれば、孫などへの教育資金としての贈与は、孫など1人につき1,500万円まで非課税です。

吉田さん:それは素晴らしいですが…まあ聞いてみるか。

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