サッポロビール「賞味期限3カ月延長」本当に味に影響はないのか

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 ちょっと待った! ビール党からそんな声が聞こえてきそうだ。サッポロビールは10月8日、来年3月以降、発泡酒を含むビール類の賞味期限をこれまでの9カ月から12カ月に順次延長していくと発表した。

 そもそもサッポロを含む大手ビールメーカーのHPなどでは“ビールは作り立てが一番うまい”と説明していたではないか。なのに賞味期限を延ばすとは何事か。

 サッポロホールディングス広報室に聞くと、

「数年前から、生産効率改善などに向けて賞味期限の延長に取り組んでいました。全工場で製造工程や保存方法を再検証し、従来よりも長く品質を保証できると判断した結果です」

 サッポロは再検証の中身を明らかにしていないものの、ビールの命である泡は製造直後から酸化が始まり、気が抜けていくことは常識なはずだが、

「製造から2、3カ月後で味の違いが分かるのは訓練を積んだ人か、味覚が相当鋭い人だと思います」

 こう語るのは、日本ビアジャーナリスト協会を主宰する藤原ヒロユキ代表だ。

「大手メーカーが製造したビールは、賞味期限内なら味はそれほど変わりません。重要なのは保管状況。日なたに放置しておけば、1日、2日で味は変化してしまいます。基本的に早めに飲むのが鉄則ですが、サッポロも多くの研究者がテイスティングした結果でしょうから、賞味期限が3カ月延びたといっても味にはさほど問題はないでしょう」

 サッポロが賞味期限延長を発表した背景には、10月1日施行の食品ロス削減推進法も関係しているが、ビール党でもある漫画家の黒鉄ヒロシ氏はこう言う。

「賞味期限延長には味の追求云々よりも、法律を順守しているとアピールしたい企業の思惑があるからでは」

 やはり、買ったらすぐに飲むべし。

週刊新潮 2019年10月24日号掲載

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