「平成の3億円事件」博多7億円金塊強奪主犯が告白本を獄中出版

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“平成の3億円事件”と呼ばれた出来事をご記憶か。

 2016年7月、福岡市のJR博多駅近くの路上で、3人の男性が貴金属店に売却するため運搬中だった金塊160キロが強奪された。犯人グループは制服警官を装い、金塊密輸事件の捜査中だと偽って、鮮やかな手口で実に7億5千万円相当の金塊を奪い去ったのである。

「実行犯は『名古屋の野口兄弟』との異名を取った2人が中心の半グレ8人。現在は、自殺した1人を除き7人全員が、懲役9年から5年6カ月の実刑判決を受けて服役中です」(社会部記者)

 主犯は、野口兄弟の弟である野口和樹(44)。このほど彼は、事件を振り返った『半グレと金塊 博多7億円金塊強奪事件「主犯」の告白』(宝島社)を出版するという。

「野口は名古屋市を拠点にし、多くの芸能人や著名人との人脈を自慢していました。今年6月に『フライデー』がお笑い芸人の宮迫博之らの闇営業を報じましたが、その後掲載された写真で宮迫の隣に写っていたのが彼だったのです」(同)

 派手な交友関係を誇る一方で、素顔はヤクザはだしの凶暴さだ。10代の時から少年鑑別所や少年院入りを繰り返し、その後は大麻所持、自動車窃盗など坂道を転げ落ちるように犯罪を重ねてきた。

 22歳の時には、同時に逮捕された交際相手の女性から手渡された催涙スプレーを刑事の顔に噴射し、留置場から逃走したことも。加重逃走の罪に問われたが、この一件はいまでも地元の半グレの間で語り草だという。

 今回、出版に至った経緯を担当編集者に聞くと、

「今年4月に本人から“事件の真相を書いた本を出したい”という手紙をもらったんです。他の出版社にも出していたようですが、返事を出した社はウチだけだった。原稿は素人とは思えぬレベルの高さでしたが、それ以上に、ペン習字の女性講師が書くような上品な字で書き綴ってあるのには驚かされました」

 本人は出版を更生の契機にしたい考えだそうだが、

「彼の言い分は二つあります。一つは金塊の強奪は持ち主に頼まれてやった狂言に過ぎず、犯罪には当たらないということ。もう一つは、仮に自分が罪に問われるのであれば、強奪を持ちかけて来た相手も同様に逮捕・起訴されなければおかしいというものです。これらの主張は一貫しており、そのせいか、いまは本を出して世に訴えることに集中していて、印税に関する話にも一切興味がないようです」

 主張は読者に届くか。

週刊新潮 2019年10月24日号掲載

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