座間9遺体事件、池袋ラブホテル殺人…性犯罪の入り口は「出会い系」から「SNS」へ

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出会い系からSNSへの移行

 同じ事件の中にSNSなどのキーワードが繰り返し出てくるのも最近の事件の特徴かもしれない。例えば、通信アプリを使って知り合った女子大生を金銭トラブルから殺した容疑などで逮捕・起訴された茨城県神栖市の廣瀬晃一(35)。彼は17年に児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕されていたが、その被害者の女子高生と知り合ったのもやはりSNSだった。

 出会い系サイトは、事件のキーワードとして今も時折見かける。今年5月に滋賀県大津市の交差点で保育園児2人が死亡、園児ら14人が重軽傷を負った事故で逮捕された新立文子(53)。その新立が公務員男性をLINEなどで脅したとして9月30日にストーカー容疑で逮捕された件は大いに世間を驚かせたが、2人が知り合ったのは出会い系サイトだった。また、埼玉県で小学4年の男児が殺された事件で逮捕された義父の進藤悠介(32)。殺された男児の実母とヒモ同然の進藤を結びつけたのは、婚活系のサイトだ。

「事件全般をみると、その起点となるものは、出会い系などのサイトからSNSへと移行しつつあります。出会い系サイトに起因する事犯の被害児童の数も03年には1278人だったが、17年には29人にまで減りました」(先の警察庁関係者)

 そうして性犯罪の「入口」も出会い系サイトからSNSへと移行したわけだが、中でも特筆すべきは次の事件である。アイドル活動をする20代の女性に対する強制わいせつ傷害容疑などで警視庁に先月逮捕された佐藤響(26)。何と彼は、SNSに投稿された女性の顔写真の瞳に映った景色を手掛かりに彼女の自宅を割り出したというのだ。

「SNSが普及した今の時代は、以前に比べて“考える時間”がなくなった」

 そう指摘するのは、『ルポ 平成ネット犯罪』などの著書もあるジャーナリストの渋井哲也氏だ。

「以前は“自殺したい”“家出したい”と思っても、何日か経てば気持ちが変わったり、その間に誰かに助けてもらえることもあったはず。ネットの掲示板に書き込んでも、返事はこないかもしれない。しかしSNSではすぐに“自殺を手伝うよ”“僕の家においでよ”とリアクションが返ってきてしまうのです。その意味では、以前よりも今の方が事件が起こる確率は上がったと思います」

(2)へつづく

週刊新潮 2019年10月24日号掲載

特集「すばらしきかな『スマホ社会』!? SNSがなければ『失われなかった命』」より

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