マイホーム購入直後に地方転勤でもそこそこ幸せ? 就職氷河期世代エリートサラリーマンの鈍感力
男性が何を考えているのかわからない。この疑問から、これまで2名の同世代男性(筆者と同じ1987年生まれ)にインタビューを行ってきたが、世代が変わると価値観もまた変わりそうだ。そう思い、今回は私の世代より10歳ほど上の「就職氷河期世代の男性」に取材を申し込んだ。
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バブルの残り香漂う就職氷河期世代の青春
待ち合わせ場所に現れたのは大手食品メーカーに勤務する永田隆文さん(41歳・仮名)。今は地方勤務だが、この日は本社での仕事のため上京していた。私自身は、父親は自営業だし母親は公務員で、サラリーマンというものを知らずに育っている。
これが、ごく一般的なサラリーマンというものか。なんだかサラリーマンもののドラマを見ているみたいだった。彼への取材中率直に感じた感想だ。約2時間のインタビュー中、彼は3度も仕事の電話で席を外した。
永田さんは就職氷河期の厳しい中、地方から有名私大の法学部へ進学。この頃、この大学の倍率は10倍もあったという。永田さんは俗に言う「大学デビューだった」と語る。
「当時、『正義は勝つ』というテレビドラマを観ていて、『弁護士ってかっこいいな』程度の理由で法学部を選びました。あまり深く考えていなかったですね。三国志が好きだったので、中国語サークルに入りました。合コンや学祭でのナンパもたくさんしましたね。クリスマスやバレンタインなどのイベントの際、恋人がいないとイケていないという圧もありました」
なんだかバブル世代の残り香のようなものを感じる。私の世代も合コンはあったが、ガツガツ感を出すのはダサいという風潮があり、ただの「飲み会」と称していた。人数もきっちり男女比を合わせるわけではなくだいたい半々になるようにする。しかし、やっていることは合コンと同じだ。
それでもそんな飲み会に私は数えるほどしか参加したことがない。学生時代はヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れていたので、バンドマン以外の男性にこれっぽちも興味がわかず、且つ誘われても「ごめん、その日ライブだから行けないわ」と断っていたらだんだんと誘われなくなってしまった。
その間に同級生たちは彼氏作りに勤しみ、私はバンドの追っかけばかりして、一般的な恋愛市場から取り残されてしまった。だから、未だに一般的な男性が何を考えているのか分からないのも一理ある。
話がそれてしまった。永田さんは就活が一番厳しい時代を経験している。当時は履歴書の大学名だけで選考を進めることはざらにあった。永田さんは高学歴のためその面では有利だったが、それでも30社は落ち、就職浪人のためにわざと留年する同級生もいたという。
「法学部に入ったものの、法律系の仕事を希望していたわけではなく、より身近なものはなんだろうと考えたところ、いきついたのが食品だったんです。それで、新卒で大手食品メーカーに内定をいただきました。その会社で中国への転勤が決まり、1年間中国で働きました。
そして国内に戻ってきた際、やはり好きな中国語を使えないのは面白くないし、今のうちにジョブチェンジしようと、28歳のときに別業種のメーカーに転職しました。ここでは中国担当で毎月中国に出張に行っていました。でも、数年経ったら国内担当に異動になり、面白みを見いだせず、今勤務している食品メーカーに転職しました」
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