「死んでくれれば楽になれる……」在宅介護の悲劇に共通する「危険な徴候」とは
「裁判官が泣いた介護殺人」10年後に判明した「母を殺した長男」の悲しい結末
2019年夏。京都市伏見区の住宅街の間をゆったりと流れる桂川の河川敷には、散歩やサイクリングを楽しむ人たちが行き交う。しかし遊歩道沿いにはあの「大きな木」はもうなかった。
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13年前の2月、その木の下で近くに住む無職の男性(当時54歳)が、認知症の母親(86歳)の首を絞めて殺害する事件が発生した。裁判では認知症の症状が悪化する母親の介護に男性が疲弊し、経済的に困窮していく様子が明らかになった。母子の悲劇に同情した裁判官が法廷で目を真っ赤に腫らしたことから、「地裁が泣いた事件」と呼ばれ、語り継がれている。...