テレ東「カラオケバトル」、司会の堺正章が松本伊代に浴びせた“すごい質問”
伊代ちゃん躍進
「伊代ちゃんは、『センチメンタル・ジャーニー』(81年)ではなく、糸井重里の迷曲『TVの国からキラキラ』(82年)を歌うのですが……」
中山秀征も「音程もそんなに……」と感想を洩らした程度で、昔ほどのハズしっぷりではなかった。意外なことに、これが94・138点を記録する。
「ヒデちゃんも“機械が麻痺している”と絶句していましたが、確かに、大丈夫なのかと思わざるを得ない結果でした。これを機に、さらに予想外の展開に。FIELD OF VIEWの浅岡雄也(50)の『突然』(95年:93・297点)を挟んで、登場したのが芸能界一の歌唱力と言われた渥美二郎(67)。『釜山港へ帰れ』(83年)を歌い上げましたが、93・704点。伊代ちゃんより低かったのです」
日本の歌謡界に一大異変である。テレ東伝説に新たな1ページが加わった。そのため番組は、高得点を狙うことよりも、打倒・松本伊代で番組が進行していくことに。続いて登場した武田鉄矢(70)は、こうぶちまけたのだ。
武田:長いプロ生活の中で、まさか伊代さんに向かって歌おうとは思いませんでしたよね。目指すのは松本伊代って、冗談じゃありませんよ、ホントに! こんなことのために長生きしたわけじゃありませんよ、私は!
だが、武田は「ご本人SP」の第1弾(18年11月14日放送)で、自身最大のヒット曲である「贈る言葉」(79年)を歌って、全国のカラオケ平均よりも低い点数(つまり素人以下)を出した過去があった。しかもこの時に、同じく素人以下だった堀内孝雄(69)は、第2弾に出演し90点以上を出していた。プロとして素人以下は武田のみという状況であることが公表されたのだ。
堺:今回、同じ曲で再挑戦。これでもしも、えらい低い点だったら……もう引退しかありません。
プレッシャーをかけられた武田は歌い出す前、こう宣言する。
武田:松本伊代さんを目指します!
「結局、武田さんの点数は、またも全国平均を下回る76・844点に。伊代ちゃんから20点近くも引き離される点数しか取れなかった。そしてフォーリーブス(江木俊夫[67]とおりも政夫[66])の『ブルドッグ』(77年:88・825点)も、伊代ちゃんに及ばず。そして彼女への対抗馬に相応しい大場久美子(59)が登場します」
番組でも紹介されたが、大場は“音符にできない音を出す”と評されたほどの歌い手である。彼女自身、「歌唱力を競う番組に大場久美子はあり得ないですよ」と言ったほどだ。持ち歌「スプリング・サンバ」(79年)を披露すると、武田が感想を述べる。
武田:やっと(自分が)勝てそうな人が現れたなと思ったんですけど、聞いたら負けたなと思いました。
案の定、武田を上回る84・606点を叩き出したが、伊代ちゃんには遠く及ばなかった。
「この後も、岸田敏志(66)の『きみの朝』(79年)が93・791点、森口博子(51)の『水の星へ愛をこめて』(85年)が93・486点と高得点が続きましたが、伊代ちゃんには及ばず。最後にマチャアキがザ・スパイダース時代の『あの時君は若かった』(68年)を歌いますが、86・137点に。伊代ちゃんの後、彼女の歌唱力を上回るプロ歌手は出てこなかったのです」
マチャアキが熱唱する中、画面上に日本代表がスコットランドに勝利の速報が流れた。現実に引き戻された瞬間であった。
[3/3ページ]