「多摩川堤防」めぐり嫌がらせ電話が止まず… 台風19号がもたらした住民分断
日本列島に深い爪痕を残した台風19号。過ぎ去ったあとも、思わぬ“二次被害”を残していた。
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一日中、嫌がらせ電話の音が止まない――疲労の色を滲ませてこう語るのは「二子玉川の環境と安全を考える会」(二子玉川会)の代表だった男性の夫人である。
「ひどい時には1時間に4件くらい掛かってくる。『お前らのせいで家じゅうが水浸しだ。どう責任を取ってくれるんだ!』と怒鳴られたこともあります」
背景にあるのは、二子玉川会が9年前に東京地裁に申し立てた、多摩川堤防建設工事の差し止めだ。嫌がらせの主たちは、二子玉会の堤防反対が多摩川氾濫を招いた……と言いたいらしい。が、これはただの言いがかりにすぎない。
そもそも、件の二子玉川会の申し立ては棄却され、会はとっくの昔に解散。代表も既に亡くなっている。さらには、
「私たちが差し止めを申し立てた下流域では予定通り堤防が完成し、台風19号で越水したのは多摩川の、より上流です。上流域は私たちの運動とは関係ないんです」
地域住民の“分断”は武蔵小杉のタワーマンションでも起きていて、
「被害に遭わなかったタワマンの住民は、『うちの建物は、台風前後で全く変わらない』とアピールしていた。『台風に弱いタワマン』と思われると資産価値が下がってしまう危険があり、『浸水したのはうちではない、よそのタワマンですよ』と言いたかったんでしょう」(取材した大手メディアの記者)
10月24日発売の週刊新潮では、モンスター台風に翻弄される人々の模様を特集している。