タワマン住人にとって武蔵小杉は他人事ではない 台風と地震で起こる最悪の事態とは ?
住みたい街ランキング上位常連の武蔵小杉(川崎市)では、タワーマンションの浸水被害がにわかに注目を集めた。多摩川の堤防近くに建てられていたことで、11棟のうち2棟が浸水し、停電、断水と、ライフラインが断たれたのだ。最も被害の大きかったのは47階建て、高さ161メートル、計643戸のタワマンだった。セレブご用達と言われるタワマンは、災害に弱いということなのか。
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件の47階建てタワマンは、武蔵小杉駅から徒歩2分の好立地にある。中原区役所や東急スクエアなども近い。
台風19号による大雨の影響で、街のマンホールや下水溝から下水が逆流し、武蔵小杉駅前道路は最大1.5メートルの高さまで冠水した。47階建てタワマンも、地下の駐車場から地下3階にある配電設備に浸水してインフラが断たれた。このタワマンはオール電化施設だったため、水道ポンプへの配電も停止し、全戸で断水したという。
「武蔵小杉のタワマン11棟のうち、何故2棟だけ被害にあったのか、まだ詳しい原因は明らかになっていません。ですが、地下の駐車場のシャッターを閉め忘れたか、あるいは、車を出し入れしたときに浸水したとみています。冠水はわずか10分で1.5メートルに達したということですから、あっという間に浸水した可能性がありますね。一説には、地下3階に7000トンの水が貯まったという話もあります」
と解説するのは、タワマン問題に詳しい住宅ジャーナリストの榊淳司氏である。
「このタワマンは、トイレなどの下水はいったん地下に貯蔵し、ポンプで排水していたので、トイレも使えません。下手にトイレを使うと、下層階のトイレや洗濯機、台所の排水溝から汚水が噴出してしまう可能性があるからです。タワマンの最も重要なライフラインであるエレベーターが停電で止まったわけですから、復旧するまで生活はできないでしょう。部屋を賃貸で借りている人もいますが、家賃は返金されたそうです」
タワマンの住民は、近くのホテルなどに避難したという。
被害の大きかった47階建てタワマンは、15日までに地下3階の排水作業がほぼ終わり、壊れた配電盤の交換作業も終わったという。19日以降、館内の共用部分の電力から順次復旧させるそうだが、結局、復旧までに1週間以上かかったことになる。
「2年前、武蔵小杉駅では、通勤時間帯は異常に混雑し、改札からホームまで30分かかると言われものです。そのため、武蔵小杉のタワマン人気に陰りがでていたのですが、今回の浸水が決定打となりましたね。2~3年のうちに、価格はじわじわと下がっていくでしょう。もう、武蔵小杉のタワマンを買いたい人は現れないんじゃないでしょうか」(同)
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