小泉進次郎がコケているのに、なぜ安倍総理は平然としていられるのか

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「菅長官の人を見る目」

「安倍さんは、小泉さんを敢(あ)えて環境相に据えました。というのも、環境相は温室効果ガス削減を目指すパリ協定を所掌し、この協定にはアメリカが反対していてまとまる気配がない。このリスキーな仕事を全(まっと)うできるかどうかという大きな宿題を、人気先行の小泉さんに課したわけです」(同)

 要は、端(はな)から安倍総理は「小泉環境相」が失敗する危険性を孕(はら)んでいることを承知していたというのだ。

「失敗したら失敗したで、安倍総理にとって『メリット』があった。ライバルになりつつある菅さん(義偉(よしひで)・官房長官)にダメージを与えることです」(同)

「ポスト安倍」に色気を見せる菅氏にとって、同じ神奈川県選出で目を掛け、随一の人気を誇ってきた小泉氏は重要な「手駒」だったが、小泉氏が躓(つまず)いたことでこの駒は一気に「飛車角クラス」から「歩」に転落してしまった。結果、安倍総理は菅氏のパワーをそぎ落とすことに成功したのだ。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう分析する。

「菅さんが小泉さんの入閣を推したのは衆目の一致するところです。その小泉さんの評価がガタ落ちしている状況が、菅さんにとって望ましいものであるはずがない。菅原一秀経産相も菅さんの側近ですが、いろいろと叩かれています。菅さんの人を見る目に否定的な評価が出てきても致し方ないでしょう」

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が後を受ける。

「原発に対するスタンスが問われる環境相というポストは、安倍総理が小泉さんに課した踏絵でした。小泉さんが失敗すれば、安倍総理が嫌っている石破さん(茂・元地方創生相)を支持してきた小泉さんの化けの皮が剥がれることになる。上手く乗り切れば、内閣支持率の維持に役立つ。どっちに転んでも、安倍総理にとって損はない。小泉さんは、まんまと安倍総理の術中にはまったと言えます」

週刊新潮 2019年10月17日号掲載

特集「漂流国会の狂言回し『安倍総理』の罠にはまった『小泉進次郎』」より

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