小泉進次郎がコケているのに、なぜ安倍総理は平然としていられるのか

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「一強」が続きすぎるのもどうかという気がするが、「民主党プレイバック」の野党統一会派にも辟易する。出口が見えない我らが国会は揺蕩(たゆた)うばかり。そんな漂流国会における、「タロー」「ジロー」たちの物語。彼ら狂言回しが導く先を、覗いてみるのもまた「一興」。

 爽やか――。小泉進次郎環境相(38)に常について回る印象である。しかし、それは褒(ほ)め言葉であると同時に、貶(けな)し言葉の一面も併せ持つ。爽やかであること、それは引っ掛かりがなく、つるんとしていて「味気ない」ことも意味するからだ。

 ごま油で炒った豚の挽き肉を、豆板醤(トウバンジャン)で味付けし、さらにラー油を垂らして辛味を増したスープの上に載せる。そのスープと、渋く苦味を効かせる白髪ネギ、そして麺をともに口に運んで、四川省由来の絶妙な辛さを堪能する。

 内閣改造直前のその日、小泉氏のもとに集(つど)った知人たちの頭は、そんな担々麺のイメージで膨らんでいた。

「進次郎さん行きつけの高級中華料理店で食事をすることになっていて、彼曰く『ここは冷やし担々麺が絶品だから』と。店に入ると、当然のように進次郎さんは冷やし担々麺を全員分頼みました。ただし、『いつもの冷やし担々麺を、担々抜きで』というオーダーでしたが……」(小泉氏の知人)

 結局、担々麺が担々麺たる所以(ゆえん)である挽き肉なしの担々麺を、その日の会食メンバーは味わうことになった。いや、担々抜きの担々麺は、もはや担々麺ではなく単なる麺である。贔屓目(ひいきめ)に見たとしても、具がなく素っ気ない「辛麺」に過ぎない。メンバーたちの間に微妙な空気が漂ったという。

「あの担々抜き担々麺は一体何だったのか……」(同)

 神は細部に宿る。この些細なエピソードにも、小泉氏の真髄が隠されていたのかもしれない。

 脂分の塊とも言える「担々」部分は肥満の元凶である。常に世論ウケ、つまりはイケていることを目指す彼にしてみれば、自身の体形を崩すことにつながる担々は余計だった。

 あるいは、大事なのは具ではない、中身などなくても問題ないのだ。彼なりに、そんなメッセージを知人たちに発していたのだろうか。

 いずれにせよ、目下、小泉氏の存在そのものが「担々抜きの担々麺」を体現しつつある――。

 現在、「環境相」よりも「ポエマー」の肩書のほうがふさわしいように映る小泉進次郎・ポエマー。意味不明なセクシー発言などを連発し、早くもその中身のなさ、別の言い方をすれば「担々のなさ」がバレてしまった格好だ。

 この「小泉ショック」は、彼ひとりが馬脚を現したことに留まらない衝撃を伴っていた。なぜなら、「在庫一掃」とも称された今回の地味な内閣改造において、唯一の目玉が小泉氏の存在だったからだ。任命権者である安倍晋三総理にとっても小泉ショックは大いなる打撃となったに違いない、傍目からはそう映った。しかし、

「最近の安倍総理はご機嫌で、早く海外に行って得意の外交をやりたくてムズムズしている様子です。小泉さんのことを気に病んでいるようには全く見えない」

 と、その名前が新聞の総理動静欄に頻繁に登場し、日々、国のトップの顔色を窺っている高級官僚は証言する。内閣改造の目玉がコケているというのに、なぜ安倍総理は平然としていられるのか。

「もともと、小泉さんの起用は安倍さんにとって『両睨み』作戦だったんです」

 と、絵解きを始めるのはある官邸スタッフだ。

「小泉さんの入閣に、安倍さんはふたつの『意味』を持たせました。ひとつは解散カードとしての小泉さん。永田町では年内解散あり得べしという空気がまだ残っていますが、もし小泉さんが環境相の任務を上手くこなして人気を保ってくれれば、いざ解散の際に彼を客寄せパンダとして使えると計算したんです」

 だが、環境相は「軽量ポスト」とはいえ、無論、誰でも務まるわけではない。事実、他ならぬ小泉氏がそれを証明している形だ。つまり、先の安倍総理の打算は脆(もろ)い前提に基づいていたことになる。しかし、これも「想定内」のことだった。

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