即位の礼で20年ぶりの厳戒警備体制 過去の大イベントは
きたる22日に皇居・宮殿で行われる「即位礼正殿の儀」。要人の“来日ラッシュ”もあり、警視庁は20年ぶりに最高レベルの警備態勢に入った。11月10日には天皇・皇后両陛下のパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」も控えている。
実に200近くにのぼる国と国際機関の代表が、間もなく日本に集結する。万が一の事態に備え、警視庁は文字通り水も漏らさぬ態勢で“首都固め”にあたるという。
「それは、20年ぶりに『最高警備本部』が立ち上げられることからも明らかです」
とは、警視庁担当記者である。
「前回は1999年7月、全日空機ハイジャック事件の際に設置されています。こうした態勢の本部長は、警視総監自らが務めることになっているのです」(同)
警察官の実務における手引き書である「警務要覧」。この内部資料の中に定められた「警視庁警備規程」には、次のように記されているという。
「最高警備本部の設置基準については『大規模な災害又は騒乱その他これに準ずる重要特異な警備事案(警衛及び警護に関する場合を含む)に対し、警視庁の総力を挙げて警備を行う場合』とあります。この1段階下である『総合警備本部』態勢の場合でさえ、警視庁の警備部長が本部長となる仕組み。つまり今回は、力の注ぎ方が段違いなわけです」(同)
過去に遡ると「最高警備本部」は、例えば64年の東京五輪をはじめ、86年と93年の東京サミットなどの際にも設置されている。皇室関連では89年2月の昭和天皇の大喪の礼、そしてもちろん翌90年11月の即位の礼においても設置されている。
ちなみに93年6月、皇太子さま(当時)ご成婚の際には、副総監を本部長とする「特別総合警備本部」が設置されていた。先の記者が続けて、
「今回の警備関連予算はおよそ38億円余り。前回29年前の予算は約54億円でしたので、3割ほど減りましたが、これはすでに最新の装備を2016年の伊勢志摩サミット開催の折に購入しており、また別枠の予算が東京五輪などの警備費用として設けられているためで、むしろ装備は強化されているのです」
当日は、13時から即位礼正殿の儀が始まる。さらに11月10日に延期となった祝賀御列の儀では、15時に両陛下が宮殿をオープンカーでお発ちになる。赤坂御所まで約4・6キロの道のりを30分ほどかけてパレードなさるわけだが、
「今回の警備には、7月に起きた京都アニメーション放火事件も影響を及ぼしています」
とは、全国紙デスク。実際にパレードの経路近くのガソリンスタンドなどには“携行缶の購入者には要注意”といった通達がなされているといい、さらには、
「近隣の高層ビルも、当日は屋上への立ち入りが制限されることになるでしょう。すでに警視庁は、沿道の土地家屋の所有者について入念に調べ上げる『スクリーニング作業』を終えています。また、示威行為を行えば強いインパクトが見込めるため、最重要ポイントとして、前回コースに入っていなかった自民党本部前が警戒対象となっています」(同)
令和最初の大イベントが、間もなく幕を開ける。
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