神戸「教員イジメ」 主犯格の女教師を生んだ教育委員会と学校の“ズブズブな関係”

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神戸教員の出世コース

 教員系職員としばしば対立していたという先の関係者は、

「教頭職を学校長の推薦で選ばれるシステムも止めさせました」

 と振り返る。そう、2008年度までは、神戸市では校長の推薦を得てはじめて試験が受けられ、教頭が選ばれていたのだ(現在は推薦不要で“立候補”しての試験制となっている)。

 整理をしよう。

 神戸市では、「神戸方式」によって学校長がお気に入りの職員を自校に呼び寄せる。お気に入りゆえ、そうした教員は学校長から推薦され教頭職になる。教頭職は、やがて教員系の職員として教育委員会に入る……。これが長らく神戸市教員の「出世コース」だったわけだ。

 その中から先の森本氏のように、教育委員会での課長、部長を経て、教育委員長になる者もいる。神戸市の教育委員会が、教育現場といかに近すぎたかが、お分かりいただけただろう。

 久元市長が設置を決定した第三者委員会の人選は、市長が管轄する「行財政局」に託し、教育委員会の影響を排除する予定だという。神戸の教育の歪みにメスが入ることを祈る。

角田裕育(すみだ・ひろゆき)
ジャーナリスト。兵庫県神戸市出身。北大阪合同労働組合青年部長、ミニコミ誌記者などを経てフリーに。著者に『セブン-イレブンの真実~鈴木敏文帝国の闇~』(日新報道)、『教育委員会の真実』(宝島社)。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年10月18日掲載

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