大学・社会人ドラフト1位候補は明大「森下」だけじゃない 隠れた逸材はこの8人
半年前からサイドスローという選手も
社会人投手2人めはこれも最速154キロを誇る即戦力投手である。東芝の力投型本格派右腕・宮川哲だ。
東海大山形から上武大を経た社会人2年目右腕で1年目は10試合に登板。中でも秋の社会人野球日本選手権準々決勝の新日鐵住金広畑戦では初回の初球で当時、自己最速となる152キロをマーク。7回1/3を投げ、被安打7、8奪三振、失点3、自責点3という好投でチームに白星をもたらしている。
社会人2年目となる今年は都市対抗予選で自己最速となる154キロを叩き出したほか、本選でも2試合に先発し、9回2/3を投げ、被安打7ながらも11三振を奪った。
身長177センチと上背は足りないものの、最速154キロ、常時140キロ台中盤から150キロ前後の伸びのある直球を武器とする力投型の本格派右腕で、そこに140キロ前後のカットボール、130キロ台のフォーク、120~130キロ台の縦のスライダー、120キロ台のカーブと4種類の変化球を組み立てて三振を奪っていくのが特徴だ。
プロのスカウトもキレとスピードのある直球でファウルが取れ、コントロール抜群のフォークは空振りが奪えると激賞。即戦力投手として大きな期待がかけられている。
社会人3人目の投手は即戦力というよりも素材型の注目株を挙げたい。東海理化のMAX152キロ右腕・立野和明である。全国的には無名の高校・中部第一(愛知)卒の高卒3年目右腕だが、高校時代からその土台の良さが評価されていた。
社会人野球に進んでからは早くも1年目からリリーフを経験し、2年目となる昨シーズンから先発陣に仲間入り。その年秋の日本選手権初戦の室蘭シャークス戦で当時自己最速となる150キロをマークすると同時に延長12回を完投し、被安打4、奪三振10、与四死球1、失点1、自責点1という見事な投球内容でチームを勝利に導いている。
3年目となる今季は公式戦で計56回1/3を投げ、被安打55、50奪三振、与四死球30で防御率3.36と安定感を欠いているが、181センチの高身から投げ込む最速152キロの直球は迫力満点。常時でも140キロ前後から145キロ超をマークし、腕の振りがしなやかなこともあって、その直球の伸びは目を見張るものがある。
変化球も130キロ台のカットボールとフォーク、120キロ台のスライダー、110キロ前後のカーブを操り、素材型の投手としてその潜在力をプロ側は高く評価している
社会人4人目にして最後に注目したいの投手も伸びしろに期待の素材優先タイプ。最速153キロもいまだ未完成の大型右腕・JR東日本の太田龍だ。
この太田も高卒3年目。れいめい(鹿児島)3年生時に149キロを計測し、当時から直球の質、将来性でプロ側からの高評価を獲得していたものの、社会人野球のJR東日本へと進む。その2年目から先発に救援にと大車輪の働きをみせ、公式戦では51回1/3を投げ、被安打27、38奪三振、自責点11で防御率1.93という安定した好成績を残した。
中でも都市対抗野球予選の東京第4代表決定戦となった明治安田生命戦で自己最速となる153キロをマーク。続く本選でも4戦中3戦に登板し、計11回1/3を投げ、被安打4、11奪三振、無失点という快投を演じ、大会の新人賞にあたる“若獅子賞”に輝いている。
身長190センチ体重91キロという恵まれた体格から投げ下ろす威力ある直球は最速153キロ。常時でも140キロ前半~140キロ後半を計測する威力があり、そこに120キロ台から130キロ超のスライダー、130キロ台後半のツーシームを織り交ぜ、130キロ台のスプリット、120キロ台で沈むチェンジアップなどで打者の空振りを誘う。
制球力には若干の不安が残るため、まだ成長過程の途中にあるといえるが、大型右腕としての伸びしろが大いに見込める好素材である。
このほかに注目したい投手として大阪商業大の最速149キロ左腕・橋本侑樹。そして独立リーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに所属する右サイドハンド・松岡洸希の名を挙げておきたい。
特に松岡はまだ高卒1年目の19歳。しかも本格的に投手に挑戦したのは桶川西高校時代の3年生春というからまだ1年強のキャリアしかない。しかもサイドスローに転向したのはわずか半年前という変わりダネでもある。
それで最速149キロをマークしたのだから、まだまだ伸びしろは十分に見込める。独立リーグ出身のサイドハンド投手というと、中日で今シーズンも中継ぎとして活躍した又吉克樹を思い出すが、果たして又吉に続く“シンデレラボーイ”の誕生となるか?
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