金品だけじゃない元助役“原発マネー接待” パトカーに寒ブリ、就職あっせんも

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“就職はどうですか”

 別の小浜署元幹部は、こんなやりとりをしたという。

「署に着任したとき、森山さんが就任祝いに来られました。初対面だったのに、どこで聞いたのか、大学を卒業したばかりの私の息子について“就職はどうですか”と言ってきた。関西電力とは言いませんでしたが、“息子さんを電力会社に紹介できる”。要するに、自分にはコネがあるから就職が斡旋できる、と。息子は就職が決まっていたので、はっきりと断りましたが」

 県庁の出先機関である嶺南振興局の幹部だった男性が後を受けて話す。

「森山さんは、警察だけでなく県の関係先や税務署にもしょっちゅう顔を出していました。とにかく腰が軽く馬力がある人との印象です。年1回、県の施設で人権大会と呼ばれる大会が開かれるときは、健康福祉部や県民生活部(当時)などの部長が勢揃いして森山さんの前にズラーッと並ぶんです。そんなとき、“森山さんの目の前で煙草を吸うな”とか、“複数でいるときに出すお茶に茶托をつけるのは森山先生だけ”とか、“森山ルール”を確認し合ったりしたものです」

 問題になっている県職員への贈答品も、少額ながら、原発マネーには違いない。

「我々は関電幹部と違い、高価なモノを返せないのを知っているので、いただくのは5千円から1万円ほどの昆布や素麺が多かった。常識的なお歳暮やお中元の範囲内ですが、先にこちらが貰った場合、きちんと返すかどうかをチェックしてる。これが怖かった」

 人をつぶさに観察してきめ細かな付け届けをし、それを書きとめた材料で相手に“一蓮托生”との畏怖の念を与え、恫喝も繰り返す。

黒革の手帖』は魑魅魍魎の世界を生き抜く銀座のクラブママの野望を描いたが、“原発銀座”を舞台にする「高浜原発のドン」の手帖にはあらゆる関係者を地獄に道連れにする、底知れない不気味さがある。

週刊新潮 2019年10月17日号掲載

特集「『国会議員』に献金! 『警察』にも餞別! 『高浜のドン』黒革の手帖に『原発マネー』リスト」より

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