被害者も加害者も未成年! 年1千万円稼ぐSNSめぐり「海に沈める」監禁・強要

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規制の遅れが走らせる

 警察署に事案は引き継がれ、調書を作成していった。

「『1回6時間・月に2度の事情聴取』が半年くらい続きました。事件の様子が防犯カメラに写っていたこと、当該ベンツが事故を起こして写真に撮られたことがきっかけで逮捕に至ったと聞きました」(同)

 犯行グループは当然、被害者のアカウントを乗っ取るような恰好で、何事もなかったかのように投稿を続けていた。フォロワーにしてみれば、被害者の顔も本名もわからないのだから、それが乗っ取りか否か判断できない。奪ったシノギである広告料もそれなりに稼いでいたということになる。

 被害者の父親にも話を聞いてみると、

「未成年だし、経験も十分に積んでいるわけではないから、怪しい話だと判断できなかったんでしょう」

 と総括し、被害者当人は、

「現在改めてLINEのアカウントを開設して、30万人までフォロワーが集まりました。将来は会社を興して社長になりたい」

 としつつも、

「店舗を持ってモノを売るビジネスにも挑戦したい」

 と、額に汗して働く意向も口にするのだった。

 評論家の呉智英氏はこう苦言を呈す。

「最近の『漫画村』の事件は、著作権の諸法律が完全でなく、その網を掻い潜ったものです。規制の遅れが、ただネットに詳しいだけの者を走らせ、彼らは儲けることが可能になっている。リベンジ・ポルノも問題になりました。そうした犯罪が簡単に行なわれる一方、裁くのは一筋縄では行かない。年齢制限なども含め、しかるべき法整備をしなければなりません」

 その一端を担うはずの警視庁の問題意識の欠如について、社会部デスクは、

「時代を象徴する事件というマインドが担当の少年事件課長になく、SNSやウェブへの関心もあまりない。うまくレクすれば犯罪抑止に繋がったかもしれないのに」

 と指摘する。青年は荒野ではなくYouTuberをマジメに目指す時代。裏返せば、濡れ手で粟の一攫千金にもワナがあると、マジメに説諭すべき時代になった……ということなのだろう。

週刊新潮 2019年10月10日号掲載

特集「SNSで1千万円荒稼ぎ! シノギと化した覇権争い! 監禁被害者が語る『高校生の仁義なき戦い』」より

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