聴覚障害者を装う外国人“旗売り”が急増中 30円の日の丸が500円のぼったくり
全盲弁護士が詐欺罪を解説
こうした事案について、日本で3人目の全盲の弁護士として知られる大胡田誠氏(おおごだ法律事務所)は次のように注意喚起する。ちなみに彼はその半生がドラマ化(「全盲の僕が弁護士になった理由〜実話に基づく感動サスペンス!〜」TBS系)もされた人物だ。
「日本人のなかには『障害者は清く正しい』と思い込んでいる人も少なくありません。その点を利用したのでしょう。買ってしまうと同様の事案を助長してしまうので絶対に買わないでほしいです」
大胡田弁護士は、旗を売っている人が実際には聴覚障がい者ではないとすれば「詐欺罪」にあたる可能性が高いという。ちなみに詐欺罪の成立には次の4つの構成要件が必要となる。
1.欺罔(ぎもう)行為。事実と違うことを告げる、あるいは事実を告げないという人を騙す行為のこと
2.その結果、錯誤に陥る。誤解する
3.金銭や物をあげてしまう
4.それらが一連の因果関係にある
「これらに照らし合わせると、500円を払った人は旗がほしいからではなく、聴覚障害者を装った欺罔行為の結果、助けたいという錯誤に陥って払ったので詐欺罪となるわけです。もっとも、被害が少額だからわざわざ被害届を出す人はまずいないでしょう。また、外国人ということで日本人には犯人の特定がしにくい。さらに聴覚障害者ではないということの証明が難しいという3つの要因で摘発されにくいのでしょう」
聴覚障害者は、第三者から見て障害があるかどうか判断がつきにくい。かつて世間を賑わせた音楽家の佐村河内守がその典型例だろう。
「聴覚障害者の中には『口話』といって口の動きを読んで会話ができる人もいます。そのため、聴覚障害者を名乗る人が仲間と普通に話をしていたからといって、『実際は耳が聞こえていて、騙された』とはあながち言い切れない側面もあります」
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