「田舎暮らし」希望者は必読 悪徳不動産業者に騙されないための“鉄則”
物件を探すなら真冬がベスト
【鉄則3】地方でのブランドホームは無意味
有名な住宅メーカー、つまりブランドホームの工費は、在来工法に較べて極めて価格が高い。最近は、半ば工場生産のパネルを現地で組み合わせるだけで、工期も早い。もちろん高気密、高断熱だ。
都会の住宅展示場に並び立つモデルハウスをそのスペックのまま建てることは、都会では土地が限られているために難しいが、地方であれば容易に可能だ。
しかし、一番大切な基礎や組み上げは、あくまでも現地の下請け、孫請けの仕事である。ブランドホームの工場生産のパネルがいかに優れものであっても、すべては基礎工事の確かさにかかってくる。
そこを担うのが、ブランドホーム本社が各地で契約している現地工務店である限り、設計性能通りに建てられるかは、すべてが工務店次第、ということになる。
現地工務店の現場監督が、仕事に熱心ではなく、現場の監視を怠れば、“ブランド料”として上乗せされている桁違いの額がもったいない。大切なのは社名ではなく、施行当事者の能力であることは肝に銘じたい。
更に言えば、最先端の住宅は、高気密高断熱、二重サッシで寒さにも強く、防音にも優れている。
こんな“都会スペック”の家で、山暮らし、海暮らしをして楽しいだろうか、という疑問も湧く。朝は波の音で目覚め、夜は森に木霊(こだま)するフクロウの鳴き声のなかで眠りにつく生活をしたくても、防音の高気密住宅のなかには、秋の涼やかな虫の音ひとつ、入ってはこない。
都会のマンション生活と田舎暮らしが、同じになってしまうのなら意味がない。自然と適度に馴染んだ生活を送るためにも、有名メーカーの住宅に魅力は乏しい。
【鉄則4】物件を探すなら、あえて真冬に
田舎暮らしをしたい、田舎に移住したいという人に最適な物件は、別荘として利用されていた家屋だ。
これは日本全国、どこでも変わらない。都会で生活している人間が建て、使ってきた別荘だからこそ、永住を考える都会人のニーズにもマッチする。似た発想で家屋が手入れされていることが多いのだ。
冒頭で、そうした別荘物件は、夏の終わりに売り出されることをご紹介した。そのため、掘り出し物を含めて、秋以降にピークがやってくる。
別荘を専門に手がける不動産業者にとっても、9月以降に訪れる客の成約件数は多い。理由は「秋がピークだと知る客は不動産取引にも慣れており、本気度が高い」からだ。
こういうお客は、いわゆる富裕層の人たちが少なくない。既に売買を経験済みで、地方では秋に物件が動くことを知っているのだ。
だが、私はあえて“真冬買い”をお勧めする。秋に出た物件をチェックしていると、真冬の12月、1月になると価格が停滞したまま、“冬眠”さながら眠っているものが少なくないからだ。
不動産取引は奥が深い。超富裕層は多少の失敗など苦にしない。初秋に急いで購入し、気に入らなかったら晩秋に売りに出してしまう。オーナー企業の創業者など、たとえ中小企業のレベルであっても、高級外車を乗り換える感覚で物件を売買するものだ。
現在の移住ブームを支えているのは、富裕層に近い中間層の人々で、将来設計は堅実だ。都会でマイホームのローンを払ってきた経験もあるので、不動産物件の購入や吟味も慣れており、移住物件選びにおいても手堅い姿勢を崩さない。富裕層ではない一般の人々は、こうした姿勢を見習わなければならない。
不動産業者というのは得てして、かき入れ時やピーク時には成約を急ぎ、客に煽りをかける傾向がある。
だが、お客にとって「あれっ、あの点はどうなんだろう?」、「この点はどうだったかな?」という疑問は、現地を1、2度見学した後、都会に戻ってくると不意に浮かんでくるものだ。本来であれば、自宅でのんびりしている時間帯に、そうした疑問点や確認点をメモし、更にもう1度、現地を見たいところだ。
真冬の商談なら、不動産業者は客が少ないため余裕がある。煽りもなく、じっくりと時間をかけて何度も内覧に応じてくれる上に、説明も丁寧だ。都会で浮かんだ疑問点や確認点にも答えてくれる。まさにベストシーズンなのだ。
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