旧皇族復帰プランで浮上、ベールに包まれた「東久邇宮家」に6人の男子

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決意を固める若者も…

 国士舘大学の百地章・特任教授が言う。

「旧宮家の復帰に否定的な『女性・女系天皇』容認派はこれまで、天皇の直系、または血縁が近いことを重視する傾向がありました。この点、東久邇家は男系の継承者であるのはもちろん、女系においても今上天皇と血縁関係が濃いわけですから、おそらく抵抗感も薄まるのではと思います」

 さらには、こう指摘する。

「かつて皇室には『世襲親王家』が4家あり、天皇家に男系の血筋が途絶えた際、その家から天皇を出してきました。まさしく“血のリレー”で、戦後はGHQの意向によって失われてしまったこの仕組みを、再び作るべきです。新たに復帰させる皇族を秋篠宮殿下の次の世代、悠仁親王をお支えする20代以下の男子に絞れば、国民の理解も得やすいのではないでしょうか」

 その手順として、前述の安倍首相の論文にもある“養子”を挙げるのだが、

「現代に強制結婚などあり得ませんから、内親王や女王と一緒になるという意味では決してありません。まずは宮家に養子入りし、独立する時にはその宮家を継ぐ、あるいは新たな宮号を戴くなどの方法があるでしょう。皇室典範で養子が禁じられているのは、一つは皇族が増えすぎて皇族費が枯渇する恐れがあったから。今は減少が危ぶまれているのだから、禁止は不要だと思います。実際に、旧宮家の若い男性の中には『いざとなれば……』と、決意を固めている人もいます」

 つまり安倍政権は、20代以下の男系男子のいる四つの旧宮家に思いを定め、中でも東久邇家をクローズアップさせ、意見集約していく狙いがあるというわけだ。

 とはいえ、間もなく始まる議論では、80%を占める「女性天皇」容認の“世論”と対峙する格好になる。

 皇室制度に詳しい所功・京都産業大学名誉教授は、

「皇室典範の規制を緩和するため、今や与野党の大多数が合意できる改革案を探る段階にあると思います。政府の考え方は『男系男子』を前提としているようですが、それよりは『男系男子を優先して男系女子も一代限りで容認する』という案が現実的だと思います」

 とした上で、旧宮家の復帰については、

「古来皇室を離れた子孫の皇族復帰は、旧皇室典範の増補でも禁止されていました。したがって、本質的には好ましくありませんが、皇族減少の危機を克服するため、旧宮家の復帰も必要ならば、一般国民たる当家と当人の意向や資質などを具体的に確かめてほしいと思います」

 急浮上した当の東久邇家。前出の眞彦氏に聞くと、困惑気味に、

「特にお話しすることはございません」

 と言うのみ。また壬生氏の長男も、10代の息子を持ちながら、

「取材は結構です」

 と、足早に立ち去っていった。代わって、3月に旅立った当主・信彦氏の長年の友人が明かすには、

「皇族復帰について彼は『自分たちには関係ないことだからノータッチだ』と話していました。“戻りたい”と希望するのも言語道断だと考えていて、そもそも復帰すること自体が違うのではないか、今の皇室の流れの中で継承していくのが一番ではないか……そんな思いを抱いていました」

 が、自ら売り込みはできずとも、制度さえ整えばその“覚悟”を示すであろう男子がいることは、先の百地教授の言の通り。はたして、その名門宮家が“政権秋の陣”の切り札となるだろうか。

週刊新潮 2019年10月3日号掲載

特集「いよいよ始まる『皇位継承』議論 急浮上する『旧皇族』! 『女性天皇』vs.『東久邇宮』という暗闘」より

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