小泉進次郎が福島で陳謝、風評被害の広め方も「クールでセクシー」?
危険なのは風評被害だけ
汚染水そのままならともかく、こうした処理水は、
「国際基準で、トリチウムの量が1リットル当たり6万ベクレル以下なら、環境中に放出できることになっています」
と、東工大の澤田哲生助教(原子核工学)が説く。
「東京電力はすでに、発電所周辺の地下水を汲み上げて浄化処理し、海に流していて、その際、トリチウムは自主基準で1リットル当たり1500ベクレルまで希釈しています。この水とタンクに保管されている処理水に、科学的な違いはありません。今後、タンク中の処理水を海洋に放出することになれば、この水と同程度かそれ以下に薄められ、トリチウムの濃度は国際基準の40分の1以下になる。その程度の量で人体や環境に影響が及ぶことはありえません」
それなのに処理水をタンクに貯めている理由だが、
「風評被害を恐れての措置です。福島では漁業を本格的に再開させようと頑張っていますが、そのタイミングで処理水が海に流されると、また魚が買い叩かれてしまうのではないかと、地元の方々は怖れているのです。もちろん魚自体は、放射性物質の含有量を検査し、安全性は科学的に確認済みですが、韓国などがイチャモンをつけるかぎり、風評被害は消えません」
これは東工大先導原子力研究所特任教授の、奈良林直氏の説明である。前出の岡本教授もいう。
「処理水は大気中に放出する方法もありますが、100万トンもの水を蒸発させるのは現実的でないので、基本的に海洋放出しかありません。しかし、対策せずに放出すれば、これまでの経験上、風評被害は起きますから、国民や国際社会に、海洋放出は福島にかぎったことではないと理解してもらう必要があります」
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