宮城学院女子大学で「トランスジェンダー学生」受け入れ、学長語る現場の苦悩
“なりすまし”のリスク
15年には福岡女子大に入学願書を提出した男性が、性別を理由に受理されなかったことを違憲として提訴。後に訴えは取り下げられたが、大きな話題となった。そうしたなか、
「この時代に、あえて女子大に入学する学生には地方出身の“箱入り娘”が少なくない。親御さんが保守的な考え方で、“東京に進学するなら女子大以外は認めない”というケースです。そうした親御さんからすると、今回のような先進的な取り組みは理解しづらいかもしれません」(同)
また、宮城学院女子大では、強制的なカミングアウトを避けるため、出願時に診断書の提出や自己申告は求めない方針だが、日本女子大出身の脚本家・橋田壽賀子氏はこう言うのだ。
「トランスジェンダーの人が女子大に入学することに抵抗はありません。ただ、診断書が必要ないというのには首を傾げます。嘘をついて女になりすます人がいたら困ってしまう。むしろ医師からの証明をもらって、女性であることに堂々と胸を張ればいいんじゃないかしら」
他方、別の女子大関係者はこう語る。
「このご時世、大学側の取り組みは理解できます。もっともこれを受けて当人にあまり堂々と振る舞われても周囲は困惑するのではないか。だから大学側もカミングアウトを求めていないのでは……」
なりすましの懸念について平川学長は、
「我々は女性として生きたい学生の受け入れを表明したわけです。仮に入学後に“なりすまし”が発覚すれば、大学の秩序を乱したとして退学処分にします」
理想が高い分だけ、現場の「苦悩」は深いようだ。
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