引退勧告の阪神「鳥谷敬」 甲子園最終戦で“お別れスピーチなし”に議論百出

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ファンに脱帽はしたけれど

 9月30日の甲子園は沸きに沸いた。この日はレギュラーシーズン最終戦。阪神は中日を3−0で下して6連勝を達成、広島を蹴落としてセ・リーグの順位3位が確定したのだ。

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 昨年は最下位。阪神ファンには臥薪嘗胆を果たした夜でもあった。最高の展開だったことは言うまでもないが、そのセレモニーの演出を巡って、ちょっとした論争が起きているのをご存知だろうか。

 主役は鳥谷敬(38)。発端は8月31日、“引退勧告”の報道だった。インパクトは強く、一般紙も伝えた。朝日新聞が9月1日の朝刊に掲載した「鳥谷、阪神退団へ 球団は引退勧告 プロ野球」から冒頭部分を紹介しよう。

《今季で5年契約が切れる阪神の鳥谷が31日、今季限りで退団する意向を表明した。球団から引退勧告を受けたことを明かした上で、引退するか、現役続行を希望して他球団への移籍をめざすのかは「いろいろ考えて決めたい」と態度を保留した》

 たちまち阪神ファンが、いや、世論が反発した。「あれだけの選手に、引退勧告とは何と失礼な!」と異論が相次いだのだ。代表的なツイートを少し、ご紹介しよう。

《球団の功労者であり看板選手たる鳥谷に対する、フロントの対応は余りにも無慈悲だ。少なくとも「引退勧告」をできるほどの権威は彼らにはない。今季のような起用法では、フルで出場して結果を出し続けてきた鳥谷が実力発揮できなかったのはやむを得ない》

《巨人の阿倍選手は引退(勇退)、阪神の鳥谷選手は引退勧告(戦力外通告)。生え抜きで名球会入りした上に、球団への貢献度は同じだと思うが、この扱いの差は何なのだろう》

 その後、阪神と鳥谷は何度か話し合いの席を持つが、双方の距離が縮まることはなかった。だが、その一方で、阪神側も世論の動向は気になっていたようだ。

 9月18日、日刊スポーツ(電子版)は「鳥谷退団セレモニーを検討、真弓前例に30日開催へ」の記事を掲載した。ポイントを列挙してご紹介するが、登場するのはオールドファンには懐かしい真弓明信(66)の名前だ。

《阪神は今季限りでの退団を表明している鳥谷敬内野手(38)の「セレモニー」を検討している》

《鳥谷自身の意向次第だが、惜別の舞台を整える準備がある。モデルケースがある。球団幹部は「真弓さんは場内1周しているんですよね。そういう形になりましたね」と思い起こす。95年、チーム構想から外れたベテラン真弓は現役続行を希望。そのため、10月6日横浜戦(甲子園)で華々しい引退式を行わなかった。それでも惜別ムード一色。試合後に家族から花束を贈られ、ナインに胴上げされ、場内を1周。球団が感動の舞台を作っていた》

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