多発する「観光公害」に打つ手はあるか 総量規制と誘導対策だけでは非現実的
大勢の観光客が引き起こす騒音、ゴミの放置、無断撮影などの行為によって、地域住民の生活環境、観光地の景観などが破壊される「観光公害」。昨年10月、最も外国人観光客が多いといわれる京都の「錦市場」では、ゴミのポイ捨てなどのマナー違反があまりに酷いということで、市場の名物であった食べ歩きが禁止にもなった。京都では以前から問題視されていたが、ここ最近、被害は北海道をはじめ日本全国におよんでいるという。
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日本政府観光局(JNTO)によると、2018年の訪日外国人旅行者数は約3119万2千人。前年から約250万人も増えていて、「2020年の東京オリンピック、パラリンピックまでに4千万人」という政府目標にも到達しそうな勢いだ。
インバウンドの増加は観光地にとって、さらなる売り上げアップが期待できるため、いいことずくめに思える。しかし一部の地域では、地元住民の許容範囲を超えて生活環境や景観が悪化するなど、観光産業の負の側面が年々あらわになってきている。
もっとも、観光公害という言葉は最近になって生まれたわけではなく、1960年代にまでさかのぼる。公益財団法人「日本交通公社」観光地域研究部主任研究員の後藤健太郎氏によれば、
「国民全体の所得が上がり、旅行需要が高まった高度経済成長期には、すでに観光産業の弊害が現れ始め、観光客増加にともなうゴミの路上投棄、マイカーの急増による交通渋滞などが発生し、住環境が悪化しました。当時から観光公害はあったのですが、意味合いが時代を経るごとに大きく変わり、外国人観光客数の急増加にともなって、様々な問題が起きてきています」
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