コンビニでの「成人誌」販売終了から1カ月、現役編集者が語る“業界の悲惨な状況”
コンビニから“指導”
内容が内容だけに、大々的に“新創刊!”とは謳われてはおらず、出版社のHPでも存在が伏せられているケースが少なくない。が、たとえば大洋図書の『実話ナックルズ』からは、『実話ナックルズウルトラ』なる兄弟誌が今年2月から登場。コアマガジンの『実話BUNKAタブー』も、長らく同誌の増刊号扱いだった『実話BUNKA超タブー』を、9月2日発売号より〈定期発刊の創刊号としてスタート!〉(HPより)している。
「頭から終わりまで成人向けコンテンツだった“成人誌”に対し、こちらは事件やスポーツなどの記事もあり、その合間合間にヌードや成人向けのページがあるイメージです。これならばグレーゾーンをうまく突けるだろうと考えたわけです。ただ、この業界のよくないところと言いますか、ひとつ成功例があると、各社それに乗っかろうとするんです。みんなこぞって“ソフト成人誌”を売出したので、一斉に目立ってしまった。結果2週間ほど前に、取次を通じ、セブンさん、ファミマさんから“指導”を食らってしまったのです。『表紙を大人しくせよ』とか『過激な表現は控えて』といった内容についての指摘が、うちに限らず、業界の全社にあったと聞いています」(同・編集者)
名前の挙がったセブン、ファミマに訊くと、
「一般的に、販売商品については従前からベンダーを通じ、取引先と話し合いの場を設けております。これは雑誌に限った話ではありません」(セブン広報)
「個別の取引内容につきましてはお答えを控えさせて頂きます」(ファミマ広報)
と説明する。指導に留まらず、次号から販売をさせない“レッドカード”を食らった雑誌もあるというから笑えない。ちなみに、販売取り止めによる店の売上への影響は、2社ともに「ありません」とのことだった。
「発売直前に注意され、慌ててモザイク処理を入れて出した雑誌もあるみたいです。本音を言えば、もともとコンビニ側が置きたいというから、成人誌はコンビニで売られるようになったんです。それこそコンビニ専用のPB(プライベート・ブランド)成人誌を、我々と共同の形で作っていた時期もありました。まだ業界に元気があった、15年ほど前のことでしょうか。『今月号は売れませんでした。前々号みたいな過激な表紙にしては?』なんて、コンビニの担当者から打ち合わせで言われたのを覚えています。それが今では、この扱い……。まあ我々は弱者ですから、従うしかありませんけど」(同・編集者)
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