舘ひろし激白! 生き方はすべてラグビーで学んだ 「オールブラックス」に挑む「日本代表」茨の道

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中3日に賭ける

 笑顔はそこまでで、日本ラグビーの艱難辛苦を知るキャプテンはこんな風に分析する。

「キックオフやその後も、ジャンプして相手ボールをキャッチする際に目測を誤りましたよね。あれは“自分はできる”という風に力が入り過ぎた結果なんだね。特に前半は硬かった」

 司令塔でありキーマンと報道されてきた田村優は試合翌日の会見で、「緊張で死にそうだった」「早く終われと思った」「10日間眠れなかった」と心情を吐露している。ことにスタート時には、自陣の深いところでキックをチャージされたり、タックルに消極的で相手のトライに結びつくなど、司令塔らしからぬ浮き足立った点が目についた。

「そうですね。後半に入ってもそれは変わりませんでした。65分ごろ、スクラムハーフから田村選手へのパスを取りに行こうとしなかった場面があったんです。彼はあまりボールに触れたくないような動きで、それは結果として、会見時の言葉を裏付けるものでしたね。ただ、“眠れなかった”というのは僕にもすごくよくわかります。日本のラグビー界のすべてが田村選手の双肩にかかっていて、その重圧たるや……。彼は真面目な人なので、背負っちゃったんだよ、きっと」

 他方、チーム全体としても、

「日本はロシア戦で、ハイパント(高く蹴り上げたキック)に弱いという面を露呈しました。当然、対戦相手はパント攻撃を畳みかけてくるでしょうから、対応が必要です」

 確かに、ボールを高く蹴られ、落下点に入るものの、ボールを掌中に収められず、争奪戦に敗れてあわや……という場面があった。9月28日のアイルランド戦では、そういった弱点は命取りになりかねなかった。W杯を賭けて闘っている中であまり意味のない数字とはいえ、アイルランドは21日までは世界ランク1位の座にあったからだ。日本はその後の10月5日にサモア(世界16位)、そして13日にスコットランド(世界8位)と相まみえる。プール戦5チームのうち上位二つが、ノックアウト方式の準々決勝に進むことができる。

 アイルランドは22日、スコットランドに27対3と一つのトライも許さずに完勝した。

「鉄壁の守りが際立ちました。相手としっかりコンタクトして、奇をてらうことはしない、オーソドックスな闘い方が印象的です」

 ということで、日本が悲願のベスト8に進むための最大の壁が、他ならぬスコットランドということになった。

「司令塔の10番と脚力とキープ力が極めて高い15番が危険な選手で、今回のアイルランドもこの2人を徹底マークし、ほとんど仕事をさせませんでした。この2人と残りを“分断”する作戦は参考になります。とはいえ、スコットランドはハマれば力もあるしタフ。例えば今年2月、欧州列強の総当たり戦で、イングランドに前半0対16でリードを許していたのに後半に一旦逆転し、最終的には引き分けになった。会場はイングランドのホーム・トゥイッケナムスタジアムで、スコットランドはここで勝ったことがなかったんですが、大健闘でした。今大会に話を戻すと、スケジュールがスコットランドには酷で、前の試合から中3日で日本戦を迎えることになる。それは相当しんどいんです。前の2015年W杯で日本は南アフリカに勝ったけれど、スコットランドに中3日の日程で当たり、やられてしまった。後半なんて全くカラダが動かず悲惨だった。今回はこの逆ですが、あの日のことが思い出されます」

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