「人間失格」監督・蜷川実花が今年に入って立て続けに2本も映画公開したワケ

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 太宰治が『人間失格』を書き上げるまでの物語を描いた映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」が好調だ。太宰役に小栗旬(36)、正妻役に宮沢りえ(46)、愛人役が沢尻エリカ(33)に二階堂ふみ(25)と豪華俳優陣の競演が話題を呼んでいる。

「演技力に定評がある俳優を主要キャストに置き、ビジュアルが綺麗な俳優で脇を固めた配役がはまっていた。蜷川実花監督の人望でしょう」(映画業界関係者)

 故・蜷川幸雄氏の娘の実花氏。映画監督より写真家の印象が強いが、作品の質はどうだったのだろうか。

「色んな表現があるのが映画の面白さですが……」

 そう前置きしたうえで映画評論家の北川れい子氏は、

「奥深い文学性よりも表面的なビジュアルを重視した、極彩色の切り絵みたいな作品でした。太宰と向き合うのでなく、蜷川さんの世界に太宰を取り込んでいった作品といえます。今年公開の蜷川映画『ダイナー』同様、物語よりも舞台装置を見てる方が楽しい映画ですね」

 と辛口評価。蜷川氏の代名詞ともいえる毒々しい色使いの世界観は健在だが、写真家・蜷川氏は、映画の世界に本腰を入れるつもりか。

「彼女は2020年東京オリパラ組織委員会の理事を務めていますからね」

 とは、広告代理店関係者。

「過去に映画は2本しか作っていないのに、今年に入って立て続けに2本も公開。五輪の公式記録映画を別の監督が手掛けることに決まっていますが、五輪に向けてあくまで自らの存在を押し出す狙いがあるでしょう。昨年は京都国際観光大使に任命され、芸舞妓を撮影した写真展を20年まで開くなど“五輪シフト”の話題づくりが目立ちます」

 極彩色の開会式と記録映画――見たいかどうか。

週刊新潮 2019年10月3日号掲載

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