101歳の農家「田代弘さん」が送る“晴耕雨読”の生活術 【続・達者な100歳にはワケがある】
現役だからめでたい! 続・達者な「100歳」にはワケがある(3/3)
100歳を超えても「現役」の先輩方たちに学ぶ、生活術。働き続ける秘訣は“待っているお客さん”の存在、すなわち自分が必要とされているという気持ちにあるようだ。
「野菜が私のことを待っていますから」
とは、大正7年生まれ、101歳の田代弘さん。福岡県直方(のおがた)市の専業農家だ。
「野菜は一日も欠かさず畑に見に行かないと様子が変わってしまう。野菜の顔色を見て、水が欲しいとか、肥料が欲しいとか、野菜の気持ちをくみ取ることが大事。目を醒ますと、今日はどんな仕事をしようか、そればかり考えています。私の子供らは成長したので、野菜たちの方が心配ですね」
先祖伝来の田畑を受け継ぐ弘さんは、5人の子供と孫9人、曾孫9人に恵まれて、農業一筋の日々を送る。
「父は自分で軽トラを運転して畑まで行き、トラクターに乗って畑を耕します。雨などで畑に出られない日が4、5日続くと調子が悪くなるくらい」
そう話すのは、共に汗を流す息子の徳行さん(72)。
「外で遊ぶということを父はまったくしません。なので、雨の日も私が買ってきた本を読むのが楽しみのようです。親子揃って時代小説が好きなのですが、父は1カ月で文庫本を4、5冊は読むので、1年で50冊ほどになります」
まさに晴耕雨読の日々を送る弘さんはこうも言う。
「鳥羽亮がお気に入りで、最近読んだものだと『はぐれ長屋の用心棒』シリーズ。以前は佐伯泰英の『密命』シリーズにもハマりました。小説以外だと『現代農業』という専門誌も読みます。10月号の特集は連作障害について書かれていて参考になりましたよ。こういう物を読むと、幾つになっても勉強は大切だと思います」
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