「今日俺」「3年A組」「あな番」……来年から「日ドラ」で面白いドラマがなくなるワケ

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ヒット作のない読売テレビ

「実は、日テレが日ドラから手を引くという話が出ているのです。来年からは系列局の読売テレビが制作すると……」(前出・日テレ関係者)

 せっかく波に乗っている日ドラ枠を、なぜ系列局に明け渡すのだろうか。

「理由のひとつは、働き方改革です。連ドラ制作を担当する社員は、どうしても勤務時間が長くなってしまう。日テレは今、労働基準局からマークされていますからね、勤務時間を圧縮するためにはドラマの数を減らすという考えのようです。TBSも働き方改革を推進するために、同じようにドラマ制作を減らしていると聞きます。看板の日曜劇場も、全てをTBSで制作するわけではなくなりましたから。今年4月期に福山雅治(50)主演で放送された『集団左遷!!』も制作会社に委託しています」(同)

 もうひとつの理由は、ご多分に漏れず経費節減という。

「ドラマ制作には金がかかります。しかも、担当プロデューサーや監督によっては、“赤字を出してでもいい作品を作りたい。視聴率を獲りたい!”というタイプがいます。ですから、自社制作ドラマを減らそう、ということになったようです。その結果、日ドラ枠を系列局の読売テレビに委託するという結論になったそうです。委託ならば、制作費は当初の予算しか出さずに済みますからね。たとえ赤字になったとしても、その穴を埋めるのは読売テレビになります」(同)

 TBSのように制作会社に委託するという手もあるはずだが、

「そうなんですよ。日ドラだって、これまで子会社の日テレアックスオンなどに制作協力をさせてきたんですけどね。選りに選って読売テレビとは……」(同)

 読売テレビは現在、日テレ系列では“木曜ドラマ”(木曜・夜11時59分~)を制作している。この夏は、小池栄子(38)主演で「わたし旦那をシェアしてた」を放送していたのだが、正直言って、全く話題にならなかった。

「木曜ドラマ枠にヒット作などありません。その昔、読売テレビは月曜・夜10時の枠をもっていたこともありましたが、平均視聴率が20%を超えた唯一のドラマが97年の『失楽園』(古谷一行[75]、川島なお美[1960~2015])でした。渡辺淳一さん[1933~2014]の原作が社会現象となり、大ヒットした映画の直後に放送されたドラマですから、20%は当然でしょう。まだ20世紀の話ですから、20%超えなんてそれほど珍しくもありません。結局、日曜の枠もその後、視聴率が取れずに04年に撤退することに……。それから20年以上が経ったいま、読売テレビにはヒットメーカーもいません。せっかく日テレが育てた日ドラ枠が、台無しにされてしまうという声も出ています」(同)

 ドラマを制作する社員は泣くに泣けないだろう。

「若手のドラマスタッフは激怒していますよ。日テレには、水曜ドラマ(水曜・夜10時~)や土曜ドラマ(土曜・夜10時~)といった伝統のドラマ枠がありますが、こうした歴史ある枠には、なかなか若手は起用されません。若手が存分に力を発揮できたのが日ドラという枠だったのです」(同)

 ちなみに水曜ドラマには、「星の金貨」(95年、主演/酒井法子[48])、「ごくせん」(02年、仲間由紀恵[39])、「ハケンの品格」(07年/篠原涼子[46])、「家政婦のミタ」(11年、松嶋菜々子[45])などのヒット作があり、今期は杏(33)の主演で「偽装不倫」が放送された。

 また土曜ドラマは、その昔、土曜グランド劇場の名で夜9時からの放送だったが、「池中玄太80キロ」(80年、西田敏行[71])、「熱中時代 教師編2」(80年、水谷豊[67])、「家なき子」(94年、安達祐実[38])、「怪物くん」(10年、大野智[38])、「ど根性ガエル」(15年、松山ケンイチ[34])などなど、今年は古田新太(53)の「俺のスカート、どこ行った?」も話題になった。

 どちらの枠も、たしかに手練れの社員が作りそうな作品ばかりだ。

「一方の日ドラは、実験枠という意味合いがありました。特にこの1~2年は、プロデューサーも監督も、ほとんどが若手スタッフで制作してきました。若手がヒットさせ、育てた枠だったのです。怒るのも無理ないでしょう」(同)

 働き方改革は世の流れとはいえ、経費節減のため若手スタッフのモチベーションを下げたら、来年からの日テレはどうなるのだろうか。心配。

週刊新潮WEB取材班

2019年9月29日掲載

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