レストランでテイクアウトは8%? コンビニのイートインは10%? 「軽減税率」で現場から困惑の声

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資金繰りが苦しく

 無論、これらの現象は都市部だけでなく、地方も同様で、食欲の秋を前にした果物農家も頭を抱えている。例えば、ブドウなどのフルーツ狩りに行った場合、採ったブドウをその場で食べると外食扱い、持って帰れば8%となる。埼玉県のブドウ農家は、

「税が2種類なので、レジを導入することになり、購入に50万円もかかりました。さらに、点検・保守に月2万円かかることに……」

 こんなトホホな状況に、追い討ちをかけているのが、経済産業省が進めるキャッシュレス決済によるポイント還元事業である。

 先のデスクによれば、

「具体的には、商品を買った時に、クレジットカードや〈Pay Pay〉などのキャッシュレス決済で支払えば、店舗によって、5%ないし2%のポイントを還元し、消費税を実質軽減できる、というものです。5%ポイント還元の対象となるのは、中小の店舗などです。小売りなら資本金5千万円以下、または従業員50人以下の中小業者。一方の2%のポイント還元が可能な店舗は大手コンビニや外食チェーンなどのフランチャイズ店となります」

 このことで、10%と軽減税率の8%に加え、6%(8%マイナス2%)、5%(10%マイナス5%)、3%(8%マイナス5%)という5種類の実質税率が乱立することになる。再びアキダイの秋葉社長の弁。

「ウチも5%のポイント還元事業に申請しています。ただ、キャッシュレス決済を導入すると資金繰りが苦しくなります。仕入れは現金なのに、販売はキャッシュレスのため入金まで2週間は待たないといけない。その分、手元に多くの現金を残す必要があります。さらに、クレジットカード払いだと3%の手数料が店側に発生し、ウチのように1~2%の利益幅の小売業では経営が破綻しかねません」

 全国にポイント還元事業の対象店は200万軒ほど。ところが、9月上旬の時点で3分の1程度しか経産省に申請されていない。「キャッシュレス決済を使いたくない」という業者の本音が透けて見えるのだ。

週刊新潮 2019年9月26日号掲載

特集「『キャッシュレス』に惑わされてはいけない! 現場は大混乱という『消費増税』への対処法」より

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