“この世にブスな子なんていない”は綺麗事?「ルッキズム問題」にモヤモヤが消えない

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 ここのところ、ルッキズム(優れた容姿に価値があるという考え方)に関しての炎上事件が多い。少し前には某Webメディア編集者が執筆した「カルチャー顔」炎上事件があった。彼が定義するカルチャー顔とは「美しさの中に歪みがある」「標準的なハーフ顔とはちょっと離れている」など。今まで「塩顔男子」や「ジェンダーレス男子」などが流行った背景もあり、彼も一種の流行語を作り上げたかったとも読み取れる。

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なぜルッキズム問題がモヤるのか

 カルチャー顔について、言わんとしていることは分かるが、上から目線と捉えられる表現や、彼がカルチャー顔と定義するモデルや著名人などの具体的な名前と写真を掲載したことも波紋を呼んだ。

 そして、カルチャー顔の例の一人として紹介された作詞家の小袋成彬氏は激怒。最終的に記事は取り下げられ、執筆した編集者は小袋氏の住むロンドンまで謝罪しに行きその模様も記事にした。その謝罪記事がおもしろければもっと挽回できたのだろうが、わざわざロンドンまで行ったのにびっくりするほどおもしろくなかった。

 またつい最近、AbemaTVで放映された女性芸人をターゲットに「ブスはいくらで脱いじゃうのか?」というドッキリ企画も炎上。ブスいじりをすること、女性の裸に値段をつけること自体、人権問題である。

「ブスをウリにしている女性芸人もいる」という声もネット上で散見されたが、顔のつくりが整っていない女性芸人であっても、近年は容姿で笑いを取ることが減ってきているように感じる。ブスをネタに笑いを取ることはもう古いのだ。

 ルッキズム問題は容姿を重要視するモデル界にまで広がっている。身長158cm、体重86kgのぽっちゃりモデルとして活躍中のエブチュラム真理栄氏は「“何が美しい美しくない”そんな話題すら無くなる そんな世界がルッキズムの解放だと、私は思います。」と、自身の豊満なボディの写真と共にツイートしている。
 
 これらのルッキズム問題は、私の中でモヤモヤが消えない。私自身、美に対する意識がおそらく一般の人々と違う。それは、音楽性だけでなく何よりも見た目が一番とされるヴィジュアル系バンドが好きだからだ。ヴィジュアル系バンドが好きな女性のことをバンギャルと呼ぶ。このバンギャル界に身を置いていると美の感覚が世間とズレていく。

 そんな歪んだ美意識を持ち合わせているせいか、昨今のルッキズム問題に対して「ブスはブスだし、それを認めてメイクやファッションの研究やダイエットをしたり整形手術をすればいいのに」と感じてしまう。

 化粧をする男性が美しい、中性的な男性が美しい、筋肉のないペラペラの体のラインが美しい。また、女形(女装しているメンバー)には女性である自分よりも女性らしい人がいる。先日はPsycho le Cemuのドラマー、YURAサマにインタビューする機会があったが、彼のキャッチコピーの1つは「顔が良いだけで業界に20年君臨!」である。とにかく顔・容姿が大事なのだ。

 また、整形手術をするヴィジュアル系バンドマンも多い。公表はしていないが、昔と顔が違うのでおそらく整形したであろうと噂されているバンドマンはいるし、先日は己龍というバンドのボーカル・黒崎眞弥氏が韓国に鼻の整形手術を受けに行ったドキュメンタリー動画をYouTubeで公開した。

 過去、日本で鼻の整形手術を受けていたことも告白。しかし、仕上がりに満足がいかず、顔のコンプレックスがパフォーマンスにまで影響を及ぼすようになったため、腕の良い医師がいる韓国での手術を決意したという。

 術後数日は、顔がパンパンに腫れ上がり、鼻に詰め物をしているせいで口呼吸しかできないため鼻声で、その映像はかなり痛々しかった。そして、鼻を固定する器具をつけているため、しばらく自分で頭を洗えず、毎日美容室に洗髪しに行っているというエピソードも明かした。

 このように、異常なほど美にこだわるヴィジュアル系バンドマン。ただし、そこらへんにいる普通の男性が化粧をしただけではバンギャルが理想とする美とは違う。ここはステージに立つバンドマンでなければならないのだ。

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