TBSは馬鹿なことを…ヤラセ問題(KAZUYA)

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 どのようなことでも、より良い数字を追い求めるのは人間として自然なことです。

 仕事の営業成績を上げたい、スポーツで良いタイムを出したい、もっと点数を取りたい……誰にも経験があるでしょう。

 しかしそれが行き過ぎると、仕事の不正、スポーツのドーピングのように、悪い方向に進んでしまうこともしばしば。

 YouTubeでは数字……というより広告収入目当てで動画の視聴回数を伸ばすため、過激な投稿が目立ちます。一度話題になれば、たしかに視聴回数は増加して一時的に広告収入は多くなるでしょう。しかし炎上で集めた視聴者はほとんど定着しませんし、過激な動画には批判も多く、アンチも増え、最悪法に触れて一生ネットのさらし者になってしまいます。個人でやっているとチェック機能が働かず、バランス感覚を失っていく可能性も高くなります。

 テレビは組織でやっている分、チェックはしているのでしょうが、数字を取るためにヤラセもちょいちょい出てきます。

 TBSは人気番組「クレイジージャーニー」でメキシコに生息する珍しい爬虫類を捕獲する企画を放送しました。6種類を捕獲する姿を放送しましたが、そのうち4種類はロケ前に準備しており、あたかもその場で自然に見つけたかのように見せるヤラセを行ったのです。

 視聴者からの問い合わせで発覚し、TBSは実態を調査するために番組を休止。9月11日に謝罪文の発表を行っています。TBSは8月に放送した「消えた天才」でもヤラセを行っていました。少年野球の映像を加工し、実際より球速が速く見えるようにしたのです。そして現段階の調査では、昨年の放送分でも、同様の手法での過剰演出が他に3件見つかったとしています。まだまだ余罪があるのではないでしょうか。徹底的に調査すべきでしょう。

 番組における「演出」はテレビもYouTubeも当然必要なのですが、ヤラセはいけません。バラエティ番組だけでなく、報道番組でも街頭インタビューを受けている人が複数のテレビ局をまたいで同じような人ばかりなど、不自然なケースが指摘されています。偶然かどうか判断が難しいところです。

 近年はコンプライアンスの面でうるさいので、昔ほど無茶なことは出来ません。その中でテレビ番組制作者は数字を求められます。不自然なことがあるとネットでも追及されるので、プレッシャーは相当なはず。しかし皆同じ環境でやっているわけで、ヤラセではない演出とアイデアで勝負する必要があります。

 TBSは一連のヤラセ問題で相当信用を失ったでしょう。いや、元からないか。

 視聴者からの信用は非常に重要なもので、失うと視聴者離れにつながる可能性もあります。YouTubeでは特に顕著で、炎上で信用を落とすと、視聴者は中々戻ってきません。テレビでも同じではないでしょうか。

 Twitterを見ると、「クレイジージャーニー」の休止を悲しむツイートも見受けられました。応援してくれる多くの視聴者をヤラセで裏切るとは……全くTBSはとんでもなく馬鹿なことをしでかしたものです。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者67万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2019年9月26日号掲載

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