ZOZO前澤氏の美談に隠された“火の車” なぜ当局はインサイダー疑惑に斬り込まない?
業績の低迷を予想して…?
ZOZOは18年3月期までは一貫して無借金経営だったが、19年3月期までに220億円を借り入れた。これに対して現預金は直近で190億円と、借入金の即時返済が不可能な状態に陥っている。もとより、この220億円の借入金は18年5月、前澤氏の持ち株を会社が244億円で買い取った際に出来た三井住友銀行からの短期借入金である。
「その返済期日は19年5月でした。ZOZOは当然、そのような多額の債務は返済できず、借入は1年延長繰延となっています。しかし、ZOZOはすでに見た通り、構造的に資金が不足する会社になっていますから、期日を繰延したところで返済の目途が立つわけではありません。三井住友銀行は事業構造の抜本的改革による返済計画の提出を要求したはずで、その答えが今回の身売りということだろうと思います」(同)
そもそも、自社株買いとは、“究極のインサイダー取引”と言えよう。当該企業が「将来の業績に比して株価が過度に割安」と判断した際に行なわれるのが通例だ。繰り返すが、昨年5月の自社株買い直後は25%ほど株価は上昇したものの、最安値では70%も下落している。業績の低迷を予測できたがゆえのインサイダー取引ではと素人は勘繰りたくもなる。
むろん自社株買いは取締役会で決議されたものだが、その会のトップは前澤氏であり、ガバナンスが成立しないのではという指摘も穿ちすぎではないだろう。
この点、泣く子も黙る特捜検察の関係者に聞くと、
「当局が当時、時代の寵児だった前澤さんの一挙手一投足に注目していたことは事実です。公開情報を精査したうえで、その先に何があるかということですね。調査を重ねつつ、時代の風を読んでいるうちに、遥かに大物のゴーンの件があったりしましたから……」
と“忖度”を口にするのだった。
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