101歳の看板娘「下元登喜子さん」元気の源は週刊誌 【達者な100歳にはワケがある】

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現役だからめでたい! 達者な「100歳」にはワケがある(2/3)

「生涯現役」を貫く猛者たちに学ぶ、“達者”の秘訣。欠かさず新聞に目を通し、加えて週刊誌まで愛読するのは101歳の下元登喜子さん。高知県梼原(ゆすはら)町にある「下元はきもの店」の主だ。

「昔から週刊誌を読むのが楽しみで、本屋から配達して貰っとんねん」

 そう語る下元さんは、本誌(「週刊新潮」)を開きながらこうも言う。

「新潮は『黒い報告書』が面白い。コレを読まんと気が済まんけん。好きなのは事件で、いろいろ関係がもつれて、しまいに殺されるところね。坂上忍のコラムも面白い。皇室の事もうんと好きなのよ。今、秋篠宮さまが叩かれおって。(本誌記者を前に)あんたの前で言うのもあれだけど、新潮は読み応えがある。ホントじゃよ?」

 茶目っ気たっぷりの下元さんは本の虫でもあった。

「単行本もよう買いよって東野圭吾とか渡辺淳一とかが好きじゃった。最近は字が細かいから、よう読まんけど。子供の頃から江戸川乱歩とか探偵物を読んどった。親の目を盗んでね。見つかったら大ごとで“働けっ”って叱られるき」

 労働が大いに美徳とされた時代、大正7年に彼女は生まれた。13人兄弟の長女として、大家族を養うため幼い頃からせっせと働き、今や町に1軒しかない履物店の主として、接客からレジ打ち、問屋への注文まですべてをこなすのだ。

「働きぶりも見事で、簡単な暗算だったらすぐその場でパパッとやってしまう。感心してしまいます」

 と評するのは、梼原町の吉田尚人町長(59)である。

「下元さんは看板娘。シューズが破けたりして買いに行くと、“元気だかよ?”って声を掛け、上履きを買いに来る子供たちも勇気づけられる。住民みんなが笑いながら集まれる店を作ってくれて、町の宝物、守り神のような人なんです」

 3日に1回は店に顔を出すご近所の下井民江さん(89)も、

「世間話なんかしに行くと、ホントにしっかりされていて、10以上も歳が下の私と同じレベルで話ができる。よく相談にのってくれますね。履いているこの靴とか、家にあるスリッパもだいたい下元さんの店で買いました。20足くらいあるかな」

 町の面積の9割超が森林で、大型スーパーはおろか、24時間営業のコンビニもない梼原では、「下元はきもの店」が人々の生活を支えていた。

 再び下元さんが言う。

「ずっと来て貰ってるお客さんなら足のサイズも分かる。話をするだけでも町の人がよう来てくれて、こんな婆さんでも気安く接してくれる。野菜なんかも持ってきてくれるし、たまに赤飯を貰うたり。困った時は靴の卸業者からお金を回して貰ったり、逆にこっちが回したりもして。そんな人様のおかげでやってこられた。卸業者の会長も、店を始めた頃から数えて4代目になって、従業員も入れ替わってしまったけど」

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