千葉県四街道市、行政ミスで全職員減給!? 「奇妙な連帯責任」に職員が漏らす本音

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市の職員の「本音」

 しかしこれは、民間会社で喩(たと)えると、極端に言えば総務部と経理部の社員が横領した会社の経費7500万円を、全社員の給与から天引きして補填するようなもの。まさに奇妙な連帯責任と言わざるを得ず、営業部の社員から「ちょっと待って」と文句が出ること請け合いである。実際、問題の担当部署とは別の部署で働く四街道市の職員に「本音」を訊(き)いてみると、

「給与が減るのを歓迎する人はいません。もらえるものはもらいたい。誰だってそうだと思います。まだ、正式に決まったわけでもないですし……」

 また別の職員も、

「(給与が)減らないといいね、と話し合っています」

 一方の佐渡市長は、

「取材は受けられない」

 と言うばかり。

 同志社大学政策学部の教授で、組織論を専門とする太田肇氏が四街道市の方針に警鐘を鳴らす。

「今回のミスは、あくまで公的な仕事で起きたことです。それによって生じた損失を、権限も責任もない部署の職員の私的な給与で穴埋めするのは筋違いです。責任の所在がうやむやになってしまいますし、勤労意欲の低下や、ミスを犯した担当部署が他部署から冷たい目で見られるといった弊害も生じかねません。市長がきっちりと責任を取るべきで、自らの給与を自身の判断で返上するべきではないでしょうか」

 そして、評論家の呉智英氏はこう喝破する。

「市長が自分の監督責任を曖昧にしようとしているのが見え見え。損失額が大き過ぎて、自分ではどうにもできず職員の給与から天引きしようというわけでしょ? 市長に退職金を返還してもらったらどうかね」

 みんなで手をつないで一緒に給与を減らすという「悪しき平等主義」――。

 佐渡斉(ひとし)市長の、「等しさ」の感覚が理解できない。

週刊新潮 2019年9月19日号掲載

ワイド特集「人生のバランスシート」より

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