102歳の理髪師「永井季雄さん」常連コミュニティは健在 【達者な100歳にはワケがある】

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100歳までゴルフ

 地元・栗山町で生まれた永井さんは、実家の事情で農学校を中退後、15歳で東京に出て理容の道へ。

 日本橋や四谷の有名店で修業して腕を磨き、終戦後は28歳でこの地に店を構える。育てた弟子は十数人。半数以上が他界してしまったそうだが、30歳の時に結婚し、4人の子供を儲け、今や孫が9人、ひ孫が6人いるそうだ。

「オヤジさんは小さい頃は魚が好きじゃなかったそうなんだけど、奥さんが浜の方の出身で、手料理がきっかけで食べられるようになった。肉も魚も好物になったことが長生きのポイントなのかもしれない」(同)

 さすがに歯は総入れ歯でも、未だに食欲は旺盛だと潔さんが話を継ぐ。

「1日3食、朝は7時頃にパンと牛乳と果物で済ませ、昼は正午に麺類かおかゆ、夕食はご飯かおかゆにおかずと味噌汁を欠かさない。外食することもよくあって、近所の店でピザをコーラと食べるのが好き。ネパールカレー屋や回転寿司にも行きます。お菓子もよく食べて、最近だとバナナカステラや熱中症予防に塩べっこう飴を口にしますよ」

 改めて永井さん本人に訊くと、

「長生きの秘訣は暴飲暴食をしないこと。昔からお酒は大して嗜むことはなかったけど、飲むなら休みの日と決めることが大事。酒もタバコもやらない代わりに運動はよくしたと思う」

 100歳までは、パークゴルフ場に足を運ぶほどのスポーツ好きだったとか。

 再び潔さんが話すには、

「オヤジはゴルフ好きで、88歳の時にハワイでプレーをしたこともありましたよ。北海道生まれだから、小さい頃からスキーもやっていて、60代でモンブラン、80代でカナダへも出掛けて行った。今でも店と家の往復は自分の足でしっかり歩き、調子がいい時は“よっこらしょ、どっこいしょ”なんて声を出して、階段をしっかり上り下りしています」

 そんな永井さん、実は定休日でも店に来ているとか。

「長年、自分が働いてきた場所だから居心地がいいみたい。座って古い写真を見たりして、昔を思い出すのも楽しみのひとつなんだと思う。北海道新聞を必ず毎日読み、気になる記事は筆写している。そうやって手を動かすのも、長生きの大事な秘訣なんだろうね」(同)

(2)へつづく

週刊新潮 2019年9月19日号掲載

特集「『現役』だからめでたい! 達者な『百歳』にはワケがある」より

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