安倍内閣でずーっと国交大臣ポストをもらい続ける公明党 その狙いは?

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 9月11日の改造内閣で、国土交通大臣に公明党の赤羽一嘉衆院議員(61)が就任した。安倍晋三首相は、6日に会談した公明党の山口那津男代表から閣僚枠1人を要望され、国交相の継続を求められていた。今や国交相といえば、公明党というイメージが定着しつつある。なぜ、このポストを欲しがるのか?

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 実際、この十数年の国交相を遡って見てみると、公明党議員が圧倒的に多い。

北側一雄衆院議員
2004年9月27日~2005年9月21日(第2次小泉内閣[改造])
2005年9月21日~2005年10月31日(第3次小泉内閣)
2005年10月31日~2006年9月26日(第3次小泉内閣[改造])

冬柴鐵三衆院議員(当時)
2006年9月26日~2007年8月27日(第1次安倍内閣)
2007年8月27日~2007年9月26日(第1次安倍内閣[改造])
2007年9月26日~2008年8月2日(福田康夫内閣)

太田昭宏衆院議員
2012年12月26日~2014年12月24日(第2次安倍内閣)
2014年9月3日~2014年12月24日(第2次安倍内閣[改造])
2014年12月24日~2015年10月7日(第3次安倍内閣)

石井啓一衆院議員
2015年10月7日~2016年8月3日(第3次安倍内閣[第1次改造])
2016年8月3日~2017年8月3日(第3次安倍内閣[第2次改造])
2017年8月3日~2017年11月1日(第3次安倍内閣[第3次改造])
2017年11月1日~2019年9月11日(第4次安倍内閣)

赤羽一嘉衆院議員
2019年9月11日~(第4次安倍内閣[改造])

 省庁再編で国土交通大臣のポストができたのは01年1月。以来、今日までの18年余りのうち、公明党議員が11年も務めているのだ。

 さらに、1次から4次までの安倍内閣では、計7年9カ月すべて公明党議員が独占している。自公連立で、公明党は閣僚を2人要求してもよさそうだが、あえて国交相という1ポストに拘るのは何故なのか。

「今回の改造内閣で、赤羽氏が国交相に就任した背景には、今年7月の参院選が関係しています」

 と語るのは、創価学会に詳しいジャーナリストの乙骨正生氏。

「参院選では、1票の格差是正で、兵庫、愛知、福岡、東京、埼玉、北海道で定数が増えました。このうち一番の激戦区は兵庫でした。公明党は新人の高橋光男氏を出馬させたのですが、公示前から高橋氏が当選するには15万票足りないと分析していた。そこで山口代表がわざわざ兵庫に出向いて、三顧の礼で“兵庫の港湾のドン”と言われる日本港運協会の久保昌三会長に彼の後援会長になってもらったのです。安倍首相と菅義偉官房長官も高橋氏の応援のため兵庫入りしました。赤羽氏は兵庫2区が選挙区で、兵庫県本部代表ですから、高橋氏の街頭演説では司会を務めるなど、全面的に支援した。その結果、高橋候補は当選を果たすことができた。赤羽氏は参院選での論功行賞で入閣したということでしょう」

 赤羽氏は慶応大学法学部を卒業後、三井物産に入社。北京事務所、南京事務所、関西支社で勤務した。北京事務所時代は天安門事件に遭遇している。1993年7月の衆議院総選挙初当選し、当選8回。安倍総理とは初当選同期で、親しい間柄と言われ、これまで国土交通委員長や財務副大臣、経済産業副大臣を歴任している。

 乙骨氏によれば、公明党が国交相ポストに拘るのは、支援母体創価学会とゼネコンの間には深い繋がりがあるからだと分析する。

「1972年に竣工した日蓮正宗総本山の大石寺・正本堂(静岡県富士宮市)は、創価学会の寄付350億円で建てられました。ゼネコンは共同企業体でしたが、この頃から創価学会とゼネコンは密接な関係となり、ゼネコンは公明党の票田となっていくのです」

 共同企業体は、大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店、鹿島建設、戸田建設と、大手ゼネコンが名を連ねた。

 創価学会は、学会員は国内だけでも827万世帯(公称)を擁するが、年に1回、学会員から寄付を募る“財務”では数千億円が集まり、資産は一説に10兆円とも言われている。

「創価学会の会館は、全国で1000以上あります。いずれも立派な建物です。また、全国に研修道場、八王子には創価大学や牧口記念会館、東京・巣鴨には戸田記念講堂、東京と関西に創価学園があります」

 創価学会は、東京・信濃町周辺に次々とビルを建設している。13年には、老朽化した東京・信濃町の本部ビルを建て替え、創価学会の御本尊を安置する広宣流布大誓堂(総本部会館)が竣工した。

「今年の11月18日には、東京電力病院の跡地に、聖教新聞の本社屋となる世界聖教会館がオープンします。ゼネコンにとって創価学会は大得意先。切っても切れない関係ですから、公明党が国交相のポストを握れば、ゼネコン側にとっても何かと頼りになるということでしょう」

週刊新潮WEB取材班

2019年9月11日掲載

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