麒麟「川島明」、2本の新番組でMCに お笑い界有数のマルチプレーヤー

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品の良さ

 芸人としての実力だけでなく、川島には生来の品の良さがある。この点もテレビのスタッフには高く評価されている。ガツガツしていて品がないと思われる芸人も多い中で、川島にはどこか上品さが漂っている。端正な外見で落ち着いた話し方をするし、そもそも芸風自体も上品で、露骨に他人を貶めて笑いを取ったりすることもほとんどない。

 自分ばかりが目立とうとグイグイ前に出るタイプでもない。バラエティ番組でも基本的には他人の話に耳を傾けていて、相手の言っていることを生かす姿勢がある。関西芸人でここまで品の良さを漂わせている人はあまりいない。

 川島も順風満帆にここまで来たわけではない。2007年には相方の田村裕(40)の著書『ホームレス中学生』(ワニブックス)の大ヒットがあった。しばらくは田村ばかりが脚光を浴び、川島が冷遇される日々が続いた。コンビでテレビに出たときに自分にだけピンマイクが付けられないという屈辱も味わった。そんな中でも川島は腐らず、黙々と努力を続けていた。その成果がいま結実しつつある。

 サンドウィッチマンの爆発的な人気ぶりからも分かるように、昨今では芸人にもアクの強さより落ち着きと品の良さが求められている。時代の空気は川島に味方している。2本の新番組をきっかけにして、これから飛躍していくのは間違いないだろう。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)など著書多数。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年9月8日掲載

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