入ってはいけない「保険」実名リスト 医療保険は不要、制度に連動しない介護保険に注意

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入ってはいけない「保険」実名リスト(1/2)

 かんぽ生命と似たような不適切な営業は他の生保会社でも行われている。不要な契約や見直しを押し付けられないために、我々はどうすればよいのか。専門家の忠告を元にした、入ってはいけない「保険」の実名リスト。そこには自衛のための知恵が詰まっている。

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 ひどい話だ――そう慨嘆するばかりではなく、「保険」というものに対する考え方を根本的に改めるチャンスと捉えることは出来ないだろうか。

 底なしの様相を呈している、かんぽ生命を巡る問題のことである。保険の乗り換えの際、半年以上保険料の二重徴収が続いたり、数カ月間無保険状態になっていたり、といった不適切な疑いのある事例は実に約18万3千件。ついには約3千万件の全契約を調査せざるを得なくなったのだが、そんな中、問題はアフラック生命保険にも飛び火。日本郵便がアフラックから委託されて販売するがん保険で、保険料の二重払いや一時的に無保険となる不適切な契約が、2018年5月からの1年間で約10万4千件もあったことが判明したのだ。

 問題の背景に苛酷なノルマがあったことはすでに報じられているが、何ゆえ、数多の顧客は郵便局員らの甘言につられてしまったのか。無論、郵便局が持つ信用が要因としてあるのは間違いなかろう。しかし、それだけの理由で多くの人が思考停止に陥るだろうか。

「稀に起こる重大事に備えるのが保険の基本。それが起こる確率が低いから、保険料を手頃なものに設定出来るのです。一方、“老後の入院”は、めったに起こらないことではないので、手頃な料金で大きな保障を得ることは難しくなる。常識で考えれば分かることですが、老後の入院リスクなどに保険で備えたがる人が多いのはなぜか。私は、その理由は“不安”だと思います」

 そう語るのは、大手生保と代理店で約15年の営業経験があり、『いらない保険』など多数の著書もあるオフィスバトン「保険相談室」代表の後田(うしろだ)亨氏。

「広告などの大量の情報によって日々、喚起されている不安が、人々に短絡的な判断をさせているのではないでしょうか。相手の心が不安定な時に決着をつけてしまう保険の売り方は、オレオレ詐欺に似ています。なぜオレオレ詐欺に騙されてしまうかというと、“孫が困っている”などと思い込み、冷静さを失った人は間違った判断をしやすいから。保険の契約も、構造的には似ていますよね」

 営業を担当する者にノルマが課されているのはかんぽ生命に限った話ではなく、

「ウチの場合、契約をしてもらってから3年間は客が払う保険料から歩合でお金がもらえるのですが、4年目になるとそれがなくなる。だから相続問題など色々な理由を作って“保険の見直し”をさせ、再契約に漕ぎ着ける。見直しをしても客が得になることはほとんどありません。どこの会社も似たようなことをやっていますよ」(大手生保社員)

 つまり、今回の不祥事はかんぽ生命特有のものではなく、保険業界全体の問題というわけなのだ。

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