鳥谷、掛布をバッサリ…功労者を切り捨てる阪神タイガース“暗黒の歴史”を振り返る

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日経新聞まで批判

 スポーツ紙記者が解説する。

「チームを去る選手に冷たいのは、もはや阪神の伝統と言っていいかもしれません。特に功労者に対する扱いは酷いですね。スター選手は球団に対する発言力が増すため、阪神という球団はそれを特に嫌う特徴があります。また、大阪という土地柄も、騒動が起きやすい要因の一つかもしれません。関西人の三大関心事は、山口組と吉本興業、そして阪神タイガースの人事と言われるほど。それくらい阪神は注目されているわけです。関西にはオリックス・バファローズもありますが、新聞もテレビも阪神一色ですからね。それだけにマスコミも新ネタを狙っているので、様々な情報が出やすい面もあります」

 今時こんな球団も珍しい。

「選手のみならず、監督にも球団側が何度も続投を言いながら、最後には解任というパターンも多い。77年には第1次の吉田義男監督が、続投が決まりながら退任となりましたし、84年には安藤統男監督が、球団上層部が水面下で人事を進めたことに嫌気がさし、2年の契約を残して辞任したこともあった。96年には藤田平監督が、球団社長から解任を突きつけられながら拒否。交渉が明け方まで続いて、翌日になってようやく発表された。この時には日経新聞が、企業のあり方として問題あり、との記事を書いたほどです」

〈異様にさえ映る今回の解任劇から浮かび上がってくるのは、変わることのない球団の企業としての甘さだ。それは結局、この球団が過去に経験してきた幾多の騒動から何も学んでいなかったことをも意味している。(中略)「現場、フロント間一体となったチーム作り」を掲げながら、やむことのない虚々実々の駆け引き。成績低迷となればあっさり「人心一新」をうたい監督をすげ替える。懲りないチームの歴史が繰り返された〉(日経新聞・96年9月14日付)

 前出の江本氏が語る。

「阪神って、永久欠番も少ないでしょう。これまで3人しかいない。選手なんて使い捨てなわけですよ。あれだけ阪神ファンが監督就任を望んでいる掛布の31番だって、永久欠番ではありません。それほどのもんじゃないと思っているから、1軍のユニフォームを着せることもなく退団させるわけです」

 今回の鳥谷、掛布、2人のミスタータイガースの退団では、一体、誰がアホなんだろうか。

「うーん、球団か、その周辺か、誰とは言えないけどね。でも、こんな酷い仕打ちをしてしまうのは、成績が悪かろうが、球団は儲かっているからですよ。ファンが球場にいっぱい来るから会社は儲かる。だから、“ここらで納めとこか”程度の感覚で決めてしまうんです。突き詰めて考えれば、ファンが球団を甘やかしている、ということになるのかもしれません」(江本氏)

週刊新潮WEB取材班

2019年9月6日掲載

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