韓国が福島の「放射能汚染」をいつまでも言い続けるせいで、風評被害が収まらない
福島が外交のカード
こうした科学的データを踏まえると、以下に続く関係者の当惑や嘆き、憤りも、いっそう生々しく感じられることだろう。
「多くの国と地域が日本産食品の安全性を確認し、規制の緩和や撤廃を進めているなか、韓国政府にも科学的根拠にしたがって対応してほしい。農水省としては、韓国がとっている水産物の禁輸措置がそもそもおかしいと考えていて、今回それが強化される形になり、風評被害の問題も含めて残念に思っています」
こう話すのは、農水省の輸出促進課海外輸入規制対策室の担当官である。
水産物の禁輸の話が出たついでに、宮城県漁業協同組合の声を伝えると、
「震災前は、ホヤの水揚げ量の約8割に当たる7千トンほどを韓国に輸出していましたので、震災後の禁輸の打撃は相当で、廃業した人も多く無念でした。しかしその後も、キロ当たり100ベクレル以上のセシウムが検出されることはまずないのに、科学的根拠を無視して韓国は禁輸を続け、被災地を差別し続けている。とても人道的な対応とは思えません。韓国が“汚染”をいつまでも言い続けることで、国内外への風評被害が収まらず、残念です」
続いて、福島県環境保全農業課の担当者は、
「オリンピック・パラリンピックの会合で、福島を名指ししての発言があったことは非常に残念です」
と言い、こう続ける。
「震災から8年、風評被害から守り、安全性を確保するために、主に三つの対策に力を入れてきました。除染作業。カリウムなどの肥料の施用徹底等による、セシウムを吸収させないための対策。そしてモニタリング検査などの徹底です。その結果、汚染状況は一部の品目でまだ戻っていないものもありますが、大方、震災前まで戻っています。特にお米は全袋、年間1千万袋を測っていて、農家や農協さんは新米から出したいのに、あえてお金と時間と手間をかけている。こうして協力し合い、安全なものしか流通していません。これだけ苦労してやってきた福島県の農家の方々の思いからすると、韓国のすることには“どうして?”と思いますし、“またか”とも思います」
それにしても、韓国には日本の被災地の食品が安全であることが、伝わっていないのだろうか。
「韓国の研究者や有識者は、福島の食品が安全であることは百も承知です。しかし、政府の意向に異を唱えると総スカンを食らい、職を失うリスクさえあるので、声を上げられないのだと思われます」
先の佐瀬氏はそう指摘し、思いを吐露する。
「科学的データを元に考えると、水産物の禁輸や食品の検査の強化といった韓国の対応は、明らかに妥当性を欠いています。東日本大震災の影響が外交の負のカードとして利用されることが、残念でなりません。五輪の団長セミナーでの(福島を名指しにして食材の安全性への懸念を示す)発言については、一人の福島県出身者として憤りを超えて、悲しみを覚えます」
ところで、イタリアやギリシャはもとよりヨーロッパは岩盤が多い土地柄なので、一般的に日本より、もちろん福島県よりも自然界から発せられる放射線量が多い。自ずと被曝の量も多くなる。韓国政府は、日本の被災地をこうも忌むのであれば、韓国人が大好きなヨーロッパに向けても、「近づくな」と、あおるべきではないだろうか。
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