「FOREVER 21」は破産申請を検討 苦戦が続く欧米FFでは「ZARA」が一人勝ち?
低価格競争に巻きこまれて悪化
齊藤:「FOREVER 21」に関しては、今年5月に中国からの撤退が発表されましたが、日本に進出して注目されていた頃から、自転車操業的な経営をしているのではないかと思っていました。低価格を謳っている割りには、調達ルートを考えると効率的でなく、収益率が良くなかった。加えて、銀座や原宿といった一等地に店舗があるため、家賃も高い。それでも出店を続け、商品を売り切っていかなければならないわけですが、ひとたび売上が落ちれば、途端に投資回収すらできなくなる。当初から、出店が止まったら危うくなる状態ではありました。おそらく、日本を含む海外の店舗は、黒字ではなかったのではないでしょうか。米国は意外に家賃が安いので、客足があるうちは回っていくものです。その状況の中、さらに安い商品が出回るようになって、限界が来たのでしょう。
――他のブランドも次々と一等地から撤退しているが、こちらは大丈夫なのか。
齊藤:傘下にある「オールド・ネイビー」を日本から撤退させた「GAP」ですが、本国ではむしろ親会社の「GAP」が苦戦しており、15年には北米175店舗を閉鎖しています。逆に「オールド・ネイビー」は堅調なため、ここだけ分社化して、「GAP」と同じく傘下の「バナナ・リパブリック(Banana Republic)」を別会社にして切り離すという見方が強まっています。
――米国最大の衣料小売りと言われる「GAP」まで……欧米ファストファッションの終焉か。
齊藤:「FOREVER21」が原宿店を閉鎖した翌年に、「H&M」は銀座店を閉めました。その際、開店から10年が経ちテナントの契約が満了し、役割を終えたためと、理由を説明していました。その他、渋谷や新宿の旗艦店と比べ小型店舗であったこと、そして家賃が高額で採算が取りづらいとも。一等地から撤退したからといって、経営状態が良くないとは限りません。ただし、ブームが一段落したと見ることはできるでしょう。
――「H&M」銀座店ができた時は、初日には徹夜組を含め、開店を待つ約5000人の客が行列し盛り上がりを見せたものだ。
齊藤:「H&M」は近年、世界的売上は伸びているものの減益が続いています。これについては、ファストファッションブランドでありながら、生産に時間がかかるようになってしまったことが理由として挙げられます。
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